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庭にできた異世界で丸儲け。社畜をやめたい俺が、気づいたらスキルで現実でも成り上がっていた  作者: k-ing☆書籍発売中
第一区画

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74.死の女王蟻

 まさかの地面からの登場に俺達はただ避けることしかできなかった。


 そもそも、異世界ダンジョンの中で戦うつもりが外で戦うことになり作戦も何もない。せっかく意味がわからない"慧の束縛に桃乃の愛の炎で溶かしつくす"という作戦名を考えたのに、使う機会がなくなってしまう。


 そして異世界ダンジョンの時と比べて名前が変わっていることに警戒を強める。


――クイーンデス(・・)キラーアント


 名前に"デス"が追加されている。異世界がゲームみたいな世界だと想定すると、進化したことになる。


「キィエエエエエー!!」


 考えている間も無く、敵は攻めてくる。


「ファイアーボール」


 桃乃が牽制目的で放った火属性魔法は頭に当たり煙が立ち込めた。


 しかし、その中をスピードを緩めることもなく突っ込んで走ってくる。苦手と予想していた火属性魔法でもダメージとして当たっていない。


「先輩どうしましょう」


「俺が引きつけるからその間にボルケーノストライクを放ってみてくれ」


 俺は魔刀の鋸を構えて敵の体に向かって斬りつける。


 空気を切るように斬撃を放つが傷跡もなくダメージは少なそうだ。


 やはり体の繋ぎ目でなければ攻撃は当たりにくいのだろう。


 それよりも近づいてわかったが、大きさが思ったよりもでかかった。異世界ダンジョンの時は体長3m程度と聞いていたが5mはありそうだ。


 体が大きい分狙いやすいが見た目からの威圧感が強い。


「先輩準備できました」


 俺が後ろに大きく下がると、やつの足元には大きな魔法陣が浮かび上がった。


「ボルケーノストライク」


 桃乃が呪文を唱えると魔法陣から突然噴火のように火が飛び出した。魔法陣自体の範囲が広く範囲攻撃なんだろう。


「えっ、まさか……」


 俺の予感は的中した。ボルケーノストライクが出てくる直前にやつも攻撃を避けたのだ。


 まさかの知能も高く素早さも高い。見た目とは違う行動に俺達は困惑する。


「キィエエエエエー!!」


 それでも少し当たったのか足の一部が焦げている。


「先輩、ボルケーノストライクならダメージ与えられそうです」


 どうにか勝利の突破口が見えた。やることは事前に話していたことと変わらない。


 俺が囮となってプラントの種で捕縛し、桃乃のボルケーノストライクで攻撃することだ。


 俺はプラントの種を取り出した。


植物詳細(ネイチャーディテール)


 植物詳細のスキルを発動させた。なぜ、植物という名前でネイチャーなのかは気になるが、発動すると同時にプラントの種の詳細がわかった。


――――――――――――――――――――


[アイテム] プラントの種

説明 魔物プラントの種。成長に合わせて自我が発達し、魔物使いや調教師の意図を読み取って攻撃することができる。プラント自体は凶暴な性格のため、魔力を込めた量によって成長スピードやなつき度が異なる。


――――――――――――――――――――


 中々物騒な種だが、どうやら人の意図を読み取ることができるほどの知能があるらしい。


 以前使った時は俺が思った通りに発動していたし、幼虫を倒した時には無意識に幼虫を倒すように考えていたのだろう。


 それにしても植物成長(グロウアップ)が魔力量や成長スピードを補助することで、懐いているのだろう。


「魔物使いや調教師が存在するのに俺ってどういう枠組みなんだ?」


 職業が存在するなら俺は花屋とか花農家になるのだろうか。


 いや、俺は会社員で社畜奴隷(・・・・)だ。


「先輩、やつがきます!」


 俺が何かをしているのが桃乃にも伝わり、桃乃はクイーンデスキラーアントの動きを細かく伝達している。


 しかし、やつの動きが早く中々魔法が当たらないのが現実か。

 

 そのままクイーンデスキラーアントに向かって斬撃を放つが、やつも噛みつこうと大きく口を開けた。


 魔刀の鋸を口の向きに合わせて攻撃を受け止める。


 俺はその間にプラントの種に木属性魔法をかけた。


植物成長(グロウアップ)


 プラントの蔓がクイーンデスキラーアントを止めるように願いを込める。きっと俺はここでこいつを止めないと桃乃とともに死んでしまう。


 俺の中に感じる何かがそう告げていた。


 プラントの蔓はすぐに成長し、やつを包み込むように蔓が伸びた。


 プラントの種は俺が思ったように成長し、プラント自体はしっかり役目を果たしている。


 どうやらこの場から逃げることができないようだ。


「鋸なんて捨てて逃げますよ!」


 きっと桃乃は武器を離せば逃げられると思っているのだろう。だが、それはもう遅い。


 桃乃をこの世界に巻き込んだのは俺だ。


 俺が彼女をちゃんと元の世界に帰さないと、先輩としての役目が果たせなくなる。


「先輩!!」


「今すぐに魔法を唱えろ!」


「先輩血が出てますよ。先輩を巻き込みたくないです」


 桃乃は泣きながら必死にどうすればいいか考えていた。


 次第に意識が朦朧とする。これは命に関わると俺の中の脳内が危険信号を出していた。


 脇腹には少しずつ痛みが強く走る。HP自動回復では処理しきれていないのだろう。


 俺は視線を腹に向けると、やつの太くて尖った脚先が脇腹に刺さっていた。

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