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庭にできた異世界で丸儲け。社畜をやめたい俺が、気づいたらスキルで現実でも成り上がっていた  作者: k-ing☆書籍発売中
第一区画

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70/165

70.穴の存在 ※一部第三者視点

 まさかのアナウンスに桃乃も同様の反応を示している。


【キラーアント討伐数成体96体、幼体228体です】


 思ったよりもキラーアントの討伐数の多さに、現実世界に戻ったことは忘れていた。


【それでは報酬の発表です。キラーアント成体1体につき5万円、幼体1体につき0.5万円で計594万円になります】


 思ったよりも1体あたりの値段は高くなく、集団でいることから数で報酬を手に入れるタイプなのだろう。


 それでも破格な報酬であることは変わらない。


 俺達は討伐報酬を半分に分けることにした。


 今回も自動勘定というもので、パーティーメンバー同士に勝手にお金が分かられることになっている。俺は297万円手に入れた。


 この短時間で297万円とは恐ろしい限りだ。


【マジックバックの中身は売却しますか?】


 俺はマジックバックの中身を見て驚かされた。まさか????の実が1つ1000万円で取引されているのだ。


 これだけ高い物だと取引せずに持っておくのがいいだろうか。 


 ちなみに????の種はそこまで高くなかったため、そのまま売らずに持っておくことにした。


 必要な時があれば使うか、いらなければ売ればいい。


 俺はとりあえずキラーアントの素材を売ることにした。


 基本的に頑丈な体から防具が作られているため、値段も高く取り引きされた。素材だけでも200万円近くの利益を出している。


 今回だけで俺の年収分は稼いでいる。むしろ、奴隷のように働いているのが馬鹿らしくなってしまう。


【お疲れ様でした。またのご利用をお待ちしております】


 アナウンスが終わると、桃乃とこの後どうするか相談することにした。まだ、クイーンキラーアントを倒していないのだ。


「これからどうする? もう一回行くか?」


「今日は休んで少し作戦を練りましょうか」


 そのまま行っても良かったが、このまま行っても疲労感が溜まる一方だ。


「それにこっちの世界にいれば、異世界の時間軸は止まるので現状を把握しやすいですよね?」


 たしかに桃乃の言うことは合っている。時間が止まっていることで、作戦会議をすることができる。俺達は袋を持って俺の家に帰ることにした。


 この判断が後に善になるのか悪になるのかは、次に異世界に行った時のお楽しみだ。


 戻っているタイミングで何やらインターホンを押している人物がいた。俺と目が合うと声をかけてきた。


「お兄さん、宅配便です!」


 どうやら宅配便のようだ。最近何か頼んだ記憶がないと思ったら、この時期に母親の妹である叔母さんからの暑中見舞いが来ていた。


 就職してから忙しく親戚と会うことはなかった。


 そんな俺を心配して、毎年暑中見舞いや寒中見舞い、年賀状などで安否確認も含めて届けてられている。


「先輩、穴を見られてますが大丈夫ですか?」


 俺達は穴から出てきたところを配達員に見られてしまった。そして穴の存在もばれている。


「あっ、ここにサインをお願いしてもいいですか?」


 俺は配達物にサインをしながら、配達員に尋ねた。


「急に穴が空いたからびっくりしたんですよね……。埋めようと思って作業していたんです」


 穴を埋めようと思って、庭にいたことを伝えると配達員は首を傾げていた。


「穴ですか? 何か動物とかが小さな(・・・)穴を開けたんですか? あっ、サインありがとうございます」


 そう言って配達員の彼は笑顔で去っていく。特に穴にも興味を示していない。


 あの大きな穴を小さな(・・・)穴と言っていた。しかも、反応からして穴の存在を気づいていないようだ。


「ひょっとして私達にしか穴ってわからないんですか?」


 俺も桃乃もわからなくなっていた。


 発見者である隣のおばさんには見えて、配達員には穴が見えない。


 桃乃の時も事前に穴の存在は伝えたから、見えたのか俺もわからなかった。


「あっ、慧くん! 良いところにいたわ」


 隣に住んでいるおばさんが何やら袋を持っていた。


 そういえば、今日はまだおばさんに会わずに異世界に来ていた。


「どうしました?」


「無事だっ……今日もおかずを持ってきたのよ。あっ、この前の彼女さんもこんにちは!」


 桃乃の存在に気づき、おばさんは桃乃にも挨拶をしていた。


「いえ、私は彼女じゃないので……」


 なぜかおばさんの視線が痛かった。付き合ってもないのに、男女二人で一緒にいるのかと言っているようだ。


「この前の肉じゃが美味しかったです」


「あら、本当に? また作ってこようかしらね。今日もたくさん作ってきたから食べてね」


 おばさんは桃乃(・・)におかずを渡していた。俺じゃなくて桃乃にだ。


「そういえば、庭の穴に気づいたのってお姉さん(・・・・)なんですよね?」


 この後輩のコミュニケーション能力の高さに俺は尊敬する。


 さらっと穴のことを第一発見者のおばさんに聞いていた。それも気づかれないように相手の機嫌を取っている。


「そうなのよ。突然朝起きたら穴が空いていることに驚いてね」


 どうやらおばさんには穴が見えているようだ。


「これだけ大きいと戻すのも大変ですしね」


「もし人手が欲しければ言ってね! そういえば、穴って何かしらの動物とか虫が住処にしているから、やたら埋めると危ないって聞いたことがあるから考えないとだめよ」


 そう言っておばさんは自分の家に戻っていく。


「人によって見え方が違うのかな?」


 俺も桃乃も何が起きているのかわからなかった。


「それにしてもあのおばさんのおかず美味しいですよね」


「ああ、ちゃっかり今日もご飯炊いてきたし、早く食べようか」


 俺達は袋を持って家に帰った。大金を持ったまま、俺は外にいたことを忘れていた。





 ある地下に住処を荒らされ泣いている者がいた。


 住処は変な蔓や悪臭漂う花、そして大事な子供達は半数以上が燃えていた。


 苦しかったのだろうか、悶えたまま命を終えた子供達の姿に怒りが込み上げてくる。


 何故こんなことが起こったのか、そんなものは理解できなかった。


 突然入り口が塞がれ、やっとの思いで外に出るとこの始末。


 誰の仕業だ……。


 可愛い我が子を殺してたやつは誰だ。


 絶対見つけ出して殺してやる。目的である子孫繁栄を忘れ、当たりの木々を齧り落とし、魔物達を捕食し彼女は更なる存在に進化を果たすのだった。

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