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庭にできた異世界で丸儲け。社畜をやめたい俺が、気づいたらスキルで現実でも成り上がっていた  作者: k-ing☆書籍発売中
第一区画

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39.部長への仕返し

 今日も普段と変わりない日常が繰り広げられていた。


「おい、服部!」


 俺はまた部長に呼ばれるようになった。最近は呼ばれすぎて俺のことが好きなのかと思うほどだ。


 俺は仕事に集中しているフリをして仕事を続けていた。並列思考があるから作業しながらでも、部長の声は聞こえている。


「おい、服部聞いてるんか!」


 俺が返事をしないため、イライラしているのだろう。一人怒っている姿を楽しんでから俺は返事をする。


「なんでしょうか?」


 それでも俺は決して席を立たない。というか最近は部長の近くに席が移動されてとにかく近いのだ。


 ただでさえ、加齢臭で離れたいのにどんどん近くなっていく。


 勝手に俺のデスクの場所変えたやつは誰だ。早く出てこい。


「なんでしょうか?じゃないだろ。呼ばれたらすぐに来い!」


 俺はイライラしながらも部長のところへ向かう。だが、俺はただでは向かわない。そう、右手には資料を沢山用意している。


「おい、持っているものは……なんだ」


 俺は部長のデスクにそっと資料を置く。決して圧をかけることもなくそっとだ。


「あっ、部長の仕事(・・・・・)が終わったのでついでに持ってきました」


 わざと大きめな声で言うと周りではクスッと笑う声が聞こえてきた。最近はこれが快感になってきている。


「おい、何だその物言いは?」


 おっ、今日はやけに突っかかってくる。俺も負けじと部長に反論することにした。


「えっ、本来は私の仕事ではありませんよね。そもそも、この辺の仕事は上層部の方の案件ですし、今日の──」


「わかった! わかった!」


 途中で止められてしまったが本当にこの男はわかっているのだろうか。何がわかったのか言って欲しいものだ。


 だが、一つ言えることは今日の戦いも俺の勝ちだった。


 庭にできたダンジョンに行くようになってから、死より怖いものを感じなくなってきている。スキルを得たわけでもないが、なぜ今まで逆らって来なかったのか疑問に思うほどだ。


「では、何もないようなので続きの部長の仕事(・・・・・)をやってきますね」


 俺はまたわざと大きめな声で伝えると、自身のデスクに戻る。


 部長からはドス黒いオーラが放たれるが知ったことではない。


 自分の仕事を全て任せてること自体がおかしいのだ。


 最近はパソコンを開いていると思ったら、ボードゲームをやっていてさらにイラッとした。


 ただの給料泥棒でしかない。


 そもそも仕事中にゲームをやるというその考えが全くわからない。頭の中かち割って脳があるか確認したい。


「はぁ……ほんとなんで呼んだのか。なあ、ももちゃん?」


 いつも通り横を向いて後輩の名前を呼ぶが返事はなかった。桃乃はあれから仕事を二週間近く休んでいる。


 会社には病気で休むと申請されているらしいが、本当の話は本人には聞けないでいた。


 異世界へ行ったことが何かしらの原因になっている可能性もある。


 俺が部長に呼ばれる回数が増えたのも桃乃が休むようになってからだ。


 仕事のスピードが上がり、やり返すようになってからは部長のストレス発散場が桃乃に対しての八つ当たりだった。


 周りも今回はストレスから来るうつ病になったのではないかと噂するぐらいだ。


 そんな中部長は何食わぬ顔で仕事をしている。いや、パソコンでボードゲームをしていた。


 その証拠にさっきからキーボードに触らずマウスばかり動かしている。


 あんな糞野郎を無視して、早く復帰してもらえればいいが、俺もまだ尋ねることも連絡することもできないでいた。





 仕事を定時に終えて、気分転換にジョギングをするためにいつものコースに向かう。朝活ですでに走っているが、なぜか今日は頭をスッキリさせたかった。


 朝とは違い夜に散歩している人は少ないようで静かだった。


「ワン!」


 どこからか犬の鳴き声がすると思ったら、突然犬が現れた。


「おっ、ココアか!」


 いつも女性と朝に散歩をしている犬だ。夜は見にくいはずなのに、見つけるとすぐに走ってくるのは相変わらず可愛い。


「はぁ……はぁ……ココア急に走らないでよ」


 どうやらまたリードを離す勢いで走ってきたのだろう。聞いたことある声に俺は顔を上げた。


「あっ、ももちゃん」


「いやいや、外でもももちゃんはやめてくださいよ」


 桃乃は笑いながら息を整えていた。いつもココアを散歩している女性と桃乃はきっと家族なんだろう。


 後輩の妹に少しドキドキしていたとは決して言えない。


「元気だったか?」


 とりあえず場を繋ぐために声をかけた。だが、俺の言葉に桃乃は戸惑っていた。すぐに答えられないということは、あまり元気ではなかったということだろう。


 話す内容を完全に間違えたようだ。


「おいおい、そんなに舐めるなよ」


 そんな雰囲気を壊すようにココアは俺に戯れてくる。


「ははは、相変わらず先輩は犬に好かれてますね」


 コボルトのことを言っているのだろう。俺も急に犬に好かれるようになってびっくりしているぐらいだ。


「はぁー。先輩この後お時間大丈夫ですか?」


 何か真剣な話があるのだろう。うつ病になった可能性も捨てきれない。考えれば考えるほど良い結果は出て来ない。


 そんな中ココアは俺に腹を見せ、撫でるように強請っていた。


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