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庭にできた異世界で丸儲け。社畜をやめたい俺が、気づいたらスキルで現実でも成り上がっていた  作者: k-ing☆書籍発売中
第一区画

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36.犬拳でタコ殴り

 俺が先頭を歩き、その後ろには桃乃、僕達を囲う形でコボルトが警戒をしながら歩いていた。


 側から見たら犬達に囲まれている飼い主状態だ。


「先輩この先の森の中です」


 目の前に現れたのは見た目からして結構薄暗く奥深い森だった。明らかに今までとは違う環境に尻込みをしてしまう。


 前までは廃墟に近い街並みだったが、今田舎と街中が無理やりくっついている感じだ。


 カウントダウンも残り1時間程度になり、早くクエストを終えないと失敗になりそうだ。


「じゃあ、入ろうか」


 俺は覚悟を決めて森の中に入ることにした。


「あっ、ちょっと待ってください」


「時間もないので迷子にならないように印をつけておきますね」


 桃乃は木に石で印をつけていた。さすが頭が回る後輩だ。討伐することだけを考えている俺とは全く違う。


 きっとまたコボルトに道を聞いていただろう。


 しばらく歩くと思った通りの鬱蒼とした森だった。


 そもそも森を歩いたことがないため、動きを邪魔する木をスコップで折ったりしながらの移動した。


 こういう時に剣やナイフが武器だったら移動しやすかったのだろう。


 どこからでも襲いやすい環境に俺達は警戒心をもう1段階上げた。急に敵が出てきた時に対応できないだろう。


 茂みに隠れている魔物を見つけられる気がしない。


「ガウ!」


 そんな中、コボルトが何かを感じ取ったのか急に吠え出した。


 どこからかミシミシと聞こえる音に俺は視線を上にあげた。


「上だ!」


 俺の声にみんな頭上に注意を向けた。そこにはポイズンスネークが木の枝に絡みつき、上から様子を伺っていた。明らかに狙いは桃乃だった。


 さっき桃乃に毒を浴びせた固体かはわからないが、桃乃に執着しているのだろうか。


 気づかれたポイズンスネークは桃乃に向かって、噛みつこうと飛びついてきた。


 俺は構えたスコップで突き刺そうとするが、ポイズンスネークのほうが動きは早い。


「桃乃下がれ!」


 桃乃に視線を移すと恐怖からなのか足が動かせなくなっていた。


 それに気づいたコボルト達は、ポイズンスネークに向かって飛びかかった。


 コボルト達の方がスピードが早いのか、どんどんポイズンスネークはコボルト達の犬拳を食らっていた。


 みんなで囲んでタコ殴りしているところを見ると、全員でポイズンスネークをいじめているようだ。


 徐々にポイズンスネークの動きは弱っていき、気づいた頃には動かなくなっていた。


「やっぱり強いな」


 あの時戦っていたら、このコンビネーションと狭い場所で瞬く間に俺はやられていただろう。


 倒し終わったコボルトは一斉に俺の方を見てきた。これは褒めてくれという合図なんだろうか。


 お座りした状態で尻尾を振っている。


 異世界ではコボルトって序盤の敵なイメージだったが実際はかなり強い方だ。それにしても序盤代表のスライムも俺はまだ見たことがない。


 コボルト達に近づき撫でると気持ちよさそうな顔をしていた。そのままもふもふしたかったが、カウントダウンが刻々と近づいているため、ポイズンスネークに近づいた。


 まだ生きているならトドメを刺すことで倒したことになるからだ。


 ポイズンスネークは無残な姿になっていたが、まだ少し体が痙攣している。


 俺はスコップを大きく持ち上げ、首を刈り取るように突き刺した。


「ワンちゃん達すごいですね」


「ああ、こいつらも魔物だからな」


 コボルトの強さを目の前で見て、強さを実感していた。犬なのに噛み付かないのが気になるが、狂犬病と関係しているのだろうか。


 桃乃もお礼にコボルト達を撫でようと近づくが、触れる前に威嚇されていた。どうやら俺にだけ懐いているようだ。


 拒否されたことで若干落ち込んでいたが、俺は気づかないふりをしてポイズンスネークを回収した。


 その頃にはカウントダウンがあと30分を切っていた。


「よし、早く戻るぞ」


 俺は急いで森につけた印を探しつつ鬱蒼とした森を駆け抜ける。他の魔物が出てきても、コボルト達に牽制してもらうように頼んである。


 桃乃が印をつけていなかったら、今頃帰る時間がもっと遅くなっていただろう。


 クエスト終了まで制限時間はあと20分。


「入り口まで連れてってくれ」


 森を出てからの案内は初めにあったコボルトに任せた。きっと一緒に行動しているコボルトなら道を覚えていると思ったからだ。


 ゴブリンが居てもなるべく無視し、どうしても避けられないものはコボルト達が先に対処する。それでどうにか戦わずに穴の近くまで来れた。


 今度ご褒美におやつをポケットに詰められるだけ持ってこようか。


「あと1分だ!」


 穴はもう目の前にあった。その距離はわずか数百mだろう。


「コボルト達ありがとう!」

 

「ガウ!」


 俺がコボルトに礼を伝えるとコボルト達は反応していた。


 楽しそうに尻尾を振っているため、遊んでもらっていると勘違いしているのかもしれない。


「ももちゃん飛び込むぞ!」


「はい!」


 息も荒れており、必死に俺のスピードについてくるのがやっとなんだろう。



 3




 2




 1




 俺と桃乃は穴に向かって大きく飛び込んだ。


 穴に入った瞬間にカウントダウンは0秒になり、いつも通りのアナウンスが脳内に響いた。


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