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庭にできた異世界で丸儲け。社畜をやめたい俺が、気づいたらスキルで現実でも成り上がっていた  作者: k-ing☆書籍発売中
第一区画

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20.可愛い犬達

 脳内にアナウンスが流れてきた。今回で3度目になると、そろそろ慣れてきた。


【今回の討伐対象はコボルトです。制限時間は5時間。それでは本日も頑張って家畜のように働きましょう】


 今回の討伐対象が発表された。コボルトとはゲームなどでは二足歩行で歩く犬と言われている。


 ゲームなどでは外見は犬だが中身はすごく獰猛(どうもう)と言われることが多い。


 実際に何が出てきても対応できるように異世界小説やゲームに出てくる敵キャラを調べている。


 俺は外に出ようとすると、まだアナウンスは終わってなかったのか話しかけてきた。


【あっ、忘れてましたがクエスト前の装備は没収します】


「えっ?」


 アナウンスと同時に急に肌寒さを感じた。気づいた時には防弾チョッキだけではなく、服も脱がされ上半身は薄い下着のみとなっていた。


「おいやっぱりダメなんかよ……ってか服返せよ!」


 今回は防弾チョッキを持っていけるか賭けだったが、まさかのTシャツまで没収されるとは思いもしなかった。


 それにしてもアナウンスって会話機能みたいなのがついているのだろうか。


【それでは家畜のように働きましょう】


 それだけ伝えると、アナウンスは何も流れなくなった。俺はまさかの展開に頭が追いついていけない。


 予期せぬことが起こると思考加速と並列思考も発動しないらしい。


――5分後


「あれぐらい許してくれよー!」


 俺は空に向かって叫んでいた。突然、異世界に薄着の状態で放置されたのだ。異世界転移の小説でもちゃんと服を着ていた。


【仕方ないですね。以後、荷物を持ってこないようにしてください】


 消えたと思ったアナウンスから返事がきた。本当に会話機能がついていた。


 これで基本的に装備となる荷物を持ってくるのは禁止されていることがわかった。


 Tシャツが返ってくるのを待っていると、俺を中心に影が広がっていく。空から1枚のTシャツがユラユラと落ちてくる。


「あっ、俺のTシャツだ」


 流石に下着のみではいけないと思ったのか、さっきまで着ていた服は戻ってきた。それを拾った俺はすぐに着替えてアイテムと装備の確認をする。


 ズボンの下に何も防具をつけていなかったからよかったものの、着けていたら今頃パンツ一丁で攻略を目指すことになっていた。


 きっとゴブリンと同類で会った人達には逃げられてしまうだろう。


 今回も何故か入り口にスコップが地面に刺さっていた。前回同様に装備欄にスコップと書いてあるため、常備装備していることになっているのだろう。


 他にも、前回手に入れた回復ポーションとホブゴブリンの素材も袋の中に入っていた。


「よし、コボルトを探しに行きますか!」


 俺はスコップを地面から抜き、コボルトを探しに歩き出した。



――30分後


「おーい、コボルト出てこいー!」


――1時間後


「そろそろ隠れんぼを終わりにしようかー?」


 声を出してもコボルトが出てくることはなかった。歩いても出てくるのはゴブリンばかりだ。


 ホブゴブリンにも遭遇したが、その場で急いで逃げた。死闘を繰り返すのはリスクが高すぎる。


 もう少し強くなって余裕ができたら、ホブゴブリンとは再戦しよう。


「それにしても討伐した魔物はそのまま出るようになるのか?」


 チュートリアルはゴブリンのみで、前回はホブゴブリンとその他の魔物は見たことはなかった。今後も異世界に来る頻度が増えると少しずつ魔物の種類も増える仕組みなんだろう。


――2時間後


 歩き回った俺は疲れて瓦礫の上に座っている。ずっと探してもコボルトは見つからなかった。着々と時間のカウントダウンだけが減り、残り3時間となっていた。


 戻る時間も考慮すると早めに見つけて、倒さないと時間が足りない可能性があった。


 俺は歩き続けるとどこかで見たことある建物を見つけた。


――"ペットショップ"


 今までは崩れ落ちている建物が多い中、ペットショップは建物自体がしっかりと残っていた。俺は人がいる可能性も考え一度入ってみることにした。


 前回、女性に助けられたこともあり、どうにかお礼を言いたいと前々から思っていた。


 あった時には回復ポーションも返すつもりだ。


「お邪魔します」


 小さく声をかけてペットショップの中に入る。やはり中は少し荒れているが、物が固めて置いてあるため生活感はあった。


 たくさんのゲージが置いてあり、よくあるペットショップと変わらない。


「あっ、犬がいる」


 俺は奥に入っていくと、ゲージの中に数匹犬が展示されていた。大きさは成犬に近いがどれも可愛く犬種も様々だった。


 異世界でもちゃんとペットショップが存在しているのかと感心していた。


 その時に異変に気づいていればよかったが、大好きな犬を見て俺は危険認識が乏しくなっていたのだろう。


 犬は僕に気づくと尻尾を振って近づいてきた。息を荒くして涎を垂らしながらこっちを見ている。


「触れないかな……」


 もふもふした毛並みに俺は触れないかとケージに向かって手を伸ばす。


 俺は犬に魅了され忘れていたのだ。


 ここが異世界だったことを……。

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