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164.オークの国に侵入

 俺達はドーリにフライパンを作ってもらいオークの国の前に着いた。ここまで来るのにベンに案内を頼んだが一向に変なところに向かいやっと着いたのだ。


 桃乃が頼んだ瞬間にすぐ軌道を修正したため、やはり桃乃しか言うことを聞かないのだろう。


「先輩、これってどっから入ったんですか?」


「ああ、外から飛び越えたぞ?」


「はぁん?」


 俺の言葉に二人は驚いていた。確かに外壁を飛び越えるにしても高いな。


「私は飛び越えられないですよ?」


「いや、多分いけるぞ? えーっと……あっ、いたいた」


 決して、俺を奇妙な人という目で見ないでくれ。俺は普通に飛び越えただけだ。


 俺は近くにいたサボッテンナを見つけると木属性魔法を唱えた。頭に花がついた個体もいたため、今日も上司はきっとサボっているのだろう。


「よし、これならいけるぞ?」


「流石に無理じゃ――」


 無理と言っている桃乃を横目に俺は外壁を軽々と飛び越えた。下にいる二人に合図を送ると、続いて笹寺が助走をつけて飛んできた。


「おい、まさか――」


 笹寺は助走をつけすぎたのか、外壁を飛び越えて中に入ってしまった。


「ももちゃん早く来いよ!」


 街の中は昨日のこともありオーク達がたくさん巡回している。そのため、笹寺を放っておくことはできなかった。


 それでも桃乃は外壁まで飛ぶのに戸惑っていた。


「はぁ……仕方ないか」


 俺はもう一度外壁から降りると、そのまま桃乃を抱きかかえる。


「えっ!? それは無理……あっ、先輩が無理ってわけじゃなくて」


 桃乃が飛び越えられないから抱え込んだのに拒否されてしまった。


 それでも俺は助走をつけて強引に外壁を飛び越えた。


「いやー、だから無理なんだってー!」


 飛び越えた時には桃乃は力尽きていた。ひょっとしたら高所恐怖症なのかもしれない。だとしたら自身で飛び越えられないのも理解できる。


「ブヒィー!」


 そんなことを言っていると、オークに見つかってしまった。何か合図を出したのか、ぞろぞろとオークが出てくるのだ。


「先輩どうしますか?」


 俺らを見つけたオークはハイオークではなかった。ってことはまだ進化していないため、理性はあるはずだ。


「逃げるに限る」


 俺達はその場を立ち去るように走って逃げた。幸いすぐに建物のスペースに隠れることで、オークを撒くことができた。


「なんかこういうスリルがあるやつって興奮するな」


 そんな中、隣にいた笹寺は興奮していた。ああ、こいつはゲーム脳……いや脳筋でメンタルが強いやつだった。


 元々オークがいた集落で隠れながらずっと生活できるほどだ。あの時も楽しみながら生活していたのかもしれない。


「そのメンタル羨ましいですね」


「ふふふ、やっとももちゃんは俺を尊敬したか?」


「いや、尊敬はしていないです」


 後輩の辛辣な言葉に笹寺は落ち込んでいた。


「じゃあ、中央部に行くぞ」


 俺達はその後も建物に隠れながら中央部に向かった。しかし、中央部に行くほどオークが増えている。


「流石に今度は無理ですよね?」


 前回はルイビの魔法でどうにかなったが、今回は俺でも外壁を飛び越えられる自信はなかった。


「ああ、俺でも無理だ──」


「多分行けるぞ?」


 声を上げたのは笹寺だった。流石に運動神経が良いからって、外壁より高いところを超えられるはずがない。


「いやいや、流石に脳筋でも無理ですよ」


 少し言葉の選択を間違えているが桃乃も同意見だった。


「まぁ、任せろ!」


 そう言って笹寺は叫びながらどこかに行ってしまった。


「あれ大丈夫なんですかね?」


「頭は大丈夫じゃないだろうな。まぁ、誠って大丈夫って思ったことは基本大丈夫だからいいんじゃないか」


 笹寺の声に門番にいたオーク達の注意が向き、ぞろぞろと笹寺を追いかけて走って行く。


「よし、今がチャンスか」


 中央部の門にはオークが数名だけ残っていた。オーク達は笹寺に見とれていたため、後ろから隠れるように移動する。


 すると見つからずに侵入することができたのだ。


「うわ……」


「ああ、やっぱりか」


 中にはハイオークがぞろぞろと待機していた。正確に言えばドワーフの女性を青姦していたのだ。


 娼館のようになっていた建物を壊した腹いせなのか、俺達が来ることをわかっていたからか、見せしめのようにドワーフを抱いている。


「あああ、誰か殺して……」


「もう嫌だ……」


 辺りは女性の掠れた声で耳がおかしくなりそうだ。


「やっぱり男って最低ですね」


 桃乃はオークの姿を見て震えていた。前回あったことが記憶に残っているのだろうか。


「ももちゃんにこんなこと見せてごめんな」


「いや、大丈夫です。スキルがあるのでなんとか耐えれてます」


 深呼吸をすると次第に震えは治る。確か桃乃は耐性スキルをたくさん覚えていると以前言っていた。その一つに精神を落ち着かせるスキルがあるのだろう。


「私はああいう人種がこの世で一番嫌いなんです!」


 桃乃はアイテムからフライパンを取り出すと自身にバフをかけてオーク達の元へ飛び込んで行く。


 桃乃のそのスピードに驚いた。いつもより何倍も早く走っているのだ。


 そこからの桃乃は圧勝だった。フライパンでオークの頭叩き……いや、あれは叩くというよりはオークが吹き飛ばされていた。


「はぁー、ひと汗かいて……あれなんだ?」


 しばらく経つと笹寺は本当に外壁を飛び越えて戻ってきた。


「その間にドワーフを助けるぞ」


 俺と笹寺は桃乃から飛んでくるオークを避けながらドワーフを助けることにした。


 どこかこっちを狙ってオークが飛んできている気もするが、俺は気にすることをやめた。


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