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あさじふの 小野のしの原 しのぶとも
よみびとしらず
あさじふの 小野のしの原 しのぶとも 人知るらめや 言ふ人なしに
(巻第十一恋歌上505)
※あさじふ:チガヤで覆われた場所 。小野の枕詞。
※小野:野原
※しの原:篠の生えた原。同音の「しのぶ」を導く。
※「あさじふの」「小野のしの原」は、同音によって「しのぶ」にかかる序詞。
私が恋の想いに忍んでいることを、あの人は知っているだろうか。
そもそも、誰も告げ知らせる人もいないのに。
逢いたいと思う気持ちを知られず、逢えなくて忍ぶだけの気持ちも伝えようがない。
忍ぶ恋の代表的な名歌の一つである。




