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我が恋を 人知るらめや しきたへの
よみびとしらず
我が恋を 人知るらめや しきたへの 枕のみこそ 知らば知るらめ
(巻第十一恋歌上504)
※しきたへの:枕、床、袖などにかかる枕言葉。
私の秘めた恋など、誰が知ることがあるのでしょうか。
ただ、私の涙を受ける枕だけが知っているとすれば、その通りなのでしょう。
後代、式子内親王の歌は、この歌を元にしたのかもしれない。
わが恋は しる人もなし せく床の 涙もらすな つげのを枕(新古1036)
(私の恋する想いなど、誰も知る人はいない。つげの枕よ、せき止めている床の涙を
もらさないでほしい)




