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うたたねに 恋しき人を 見てしより
小野小町
うたたねに 恋しき人を 見てしより 夢てふ物は たのみそめてき
(巻第十二恋歌二553)
うたた寝の中で、恋しい人を見てからは、夢というものを頼みにするようになっているのです。
小町は、恋人を待ち続けて、夜は眠れなかったのかもしれない。
それで日中にうたた寝をしていたら、夢に恋人が現れた。
それからは、儚い夢ではあるけれど、その夢を逢瀬の頼みにするようになってしまった、そんな自嘲を含んだ歌。
これも絶世の美女小野小町が詠んだから、可憐さや艶めかしさを増す。