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秋風の 吹きにし日より 音羽山
石山にまうでける時、音羽山のもみぢを見てよめる
紀貫之
※石山:滋賀県大津市石山町にある石山寺。平安期に貴族が数多く参拝。
紫式部が源氏物語を起筆したという伝説もある。
※音羽山:京都市山科区と大津市の境にある山。
秋風の 吹きにし日より 音羽山 峰の梢も 色づきにけり
(巻第五秋歌下256)
秋風が吹き始めた日から、音羽山の峰の梢も色づき始めたのでしょう。
音羽山が、その「音」の字をあてられたこともあり、吹き始めた秋風の「音」を即座に聞き、そのまま紅葉を始めた、と詠む。
旅路での淡く軽い雰囲気の歌。