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憂きことを 思ひつらねて 雁がねの
凡河内躬恒
憂きことを 思ひつらねて 雁がねの 鳴きこそわたれ 秋のよなよな
(巻第四秋歌上213)
いろんな辛いことを思いながら、秋の夜ごとに、雁は鳴きながら大空を渡って行く。
実際に雁が辛いと思って、鳴きながら飛んで行くのではない。
作者が事情は不明だけれど、辛い思いがあるから、雁が鳴き連ねることに、それを重ねてしまったということ。
飛び去って行くついでに、自分の辛い思いも持ち去って欲しい、とのことだろうか。
それも「秋の夜な夜な」なので、辛い思いも、毎日わきあがって、なかなか消えないのだと思う。




