55/289
月見れば ちぢにものこそ 悲しけれ
大江千里
月見れば ちぢにものこそ 悲しけれ 我が身ひとつの 秋にはあらねど
(巻第四秋歌一193)
月を眺めていると、心がいろいろに乱れて悲しくなってしまう。
決して、私だけに訪れた秋ではないのだけれど。
決して、自分だけに訪れた秋ではないと、頭ではわかっている。
しかし、あの月を見ると、どうしようもなく心が、いろいろと乱れてしまう。
月の光が持つ魔力なのだろうか。
白楽天(白氏文集第十五・燕子楼三首序)
「燕子楼中霜月夜 秋来只為一人長」
(燕子楼中霜月の夜 秋来りて只一人の為に長し)
燕子楼で長年、国司から愛顧を得られず、一人暮らし。
そのまま死んでしまった妾が、名月ではあるけれど、肌寒い秋の夜に「相手にされない私一人のため、こうも秋の夜は長いのか」と嘆く。
を踏まえたとの説がある。
尚、百人一首にも、採られている。




