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うきめのみ おひて流るる 浦なれば
よみびとしらず
うきめのみ おひて流るる 浦なれば かりにのみこそ 海人は寄るらめ
(巻第十五恋歌五755)
ここは、浮きめだけが生えて流れてしまう浦なので、海人はただ刈るだけに寄って来るのでしょう。
完全な比喩の歌。
憂き目ばかりの私で、そのまま老いて泣くばかり。
だから、訪れる人(海人)は、仮の気持ち(単なる義理)でのみ、立ち寄るだけなのでしょう。
夫には新しく若い妻ができて、夜離れが続き、たまに立ち寄ったとしても、自分を愛する気持ちが感じ取れない、そんな辛い思いを詠う。
 




