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花がたみ 目ならぶ人の あまたあれば
よみびとしらず
花がたみ 目ならぶ人の あまたあれば 忘られぬらむ 数ならぬ身は
(巻第十五恋歌五754)
※花がたみ:目のつまった花を入れる竹籠。
まるで花かごのように、たくさんのお美しい女性が、おそばにおられるので、私のような物の数にも数えられない女は、きっと忘れられているのでしょう。
愛した男が出世でもしたのか、夜離れをされ、恨む歌。
花かごのように、たくさんの美女がそばに仕えるのだから、身分も高く裕福な男。
女は、「数ならぬ身」なので、男よりも、またそばに仕える美女たちよりも、下の階級と思われる。
特に古代において、身分や階級は、現代以上に無視できないルール。
特に、身分の低い女性が、他の身分の高い女性を飛び越えて、男の愛情を得るとなると、特に苛めの対象になった。
(源氏物語の桐壺更衣が、他の女性たちから反感を受け、ストレス死したように)




