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君こずは ねやへもいらじ 濃紫
よみびとしらず
君こずは ねやへもいらじ 濃紫 我がもとゆひに 霜は置くとも
(巻第十四恋歌四693)
※ねや:寝室
※濃紫:元結の色で、この歌では女性の束ねた髪。
※もとゆひ:本来は髻を結ぶ紐の意味。
貴方が来ないのなら、私は寝室には入りません。
(庭に出て、貴方を待ち続けて)濃紫の私の元結に霜が置りたとしても。
元結に霜がおりるような寒さも厭いません。
寝室にも入りません。
庭に出て、お越しになるのを、待ち続けます。
相当に強い決意の女性の歌。
こんな歌を贈られたら、男性は通わずにはいられない。