41/289
いたづらに 行きてはきぬる ものゆゑに
よみびとしらず
いたづらに 行きてはきぬる ものゆゑに 見まくほしさに いざなはれつつ
(巻第十三恋歌三620)
※いたづらに:むなしく、意味もなく
※見まくほしさ:逢いたいと思う気持ち
※いざなはれ:誘われ
結局は、お尋ねしても、貴方はお顔を見せてくれることはなく、むなしくがっかりして帰って来るばかりなのに、貴方にお逢いしたいと思う気持ちだけに誘われて、何度もこんな苦しみを味わい続けているのです。
尚、伊勢物語第65段(在原なりける男)にも、採られている。