38/289
我が恋は み山隠れの 草なれや
小野美材
我が恋は み山隠れの 草なれや しげさまされど 知る人のなき
(巻第十二恋歌二560)
※しげき:草の繁茂と、恋の思いの激しく募ることを掛ける。
私の恋など、深い山に隠れて繁茂する草なのでしょうか。
思いは激しくても、それを知る人がいないのですから。
人知れない恋の思いを詠う。
よほど高貴な相手か、想いを打ち明けたところで失恋が目に見えているのか。
だから、どれだけ思いが激しくなろうと、隠し続ける。
※小野美材:平安時代前期の貴族・文人・能書家。参議・小野篁の孫。