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山高み 下ゆく水の 下にのみ
よみびとしらず
山高み 下ゆく水の 下にのみ 流れて恋ひむ 恋は死ぬとも
(巻第十一恋歌一494)
山が高過ぎて、流れて来ている川も人目には入らず、よくわかりません。
私の恋もそれと同じ。
人目に入らないように、涙を流して恋し続けましょう。
そのまま、恋に死んでしまうことがあったとしても。
相手に気づかれない恋。
そもそも山高み=身分の格差のため、気づかれてはならない恋か。
身分制度が厳しかった時代、どうにもならない恋に苦しんだ人は、現代以上に多かったのだと思う。