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我が恋は むなしき空に 満ちぬらし
よみびとしらず
我が恋は むなしき空に 満ちぬらし 思ひやれども 行く方もなし
(巻第十一恋歌一488)
私の恋心は、あの何もなかったはずの大空にまで満ちてしまったようなのです。
しかし、どれほど思いを寄せても、もはや行き場もありません。
恋心が、恋心のままで、大空にまで満ちるとは、何を見ても恋心しかない状態。
しかし、その恋心の成就の兆しは、どれほど逢瀬を願っても皆無。
そんなむなしさや、恋心が届かない閉塞感を詠んだ歌。
特に辛い片思いをしている人には、身にしみる歌と思う。




