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たらちねの 親のまもりと あひそふる
小野千古が陸奥介にまかりける時に、母のよめる
たらちねの 親のまもりと あひそふる 心ばかりは せきなとどめそ
(巻第八離別歌368)
※小野千古:小野道風の息子。
※陸奥介:陸奥国の次官。
※たらちねの:親にかかる枕詞。
小野千古が陸奥介として都から出発する時に、その母が詠んだ。
親が守ってあげたいと添える心だけは、関所も留めないで欲しいのです。
母親としては、立派な役人になっていたとしても、息子の身を案じ続ける。
それが、遥か遠くの陸奥の国に出向くという。
国家の命令なので、ついて行くことも叶わない。
道中、無事にと、親が願う心を「お守り」として持たせる。
それくらいは、関守も留めることはしないで欲しい。
わかりやすく、心にしみる歌と思う。




