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春風は 花のあたりを よぎてふけ
春宮のたちはきのぢんにて、桜の花の散るをよめる
※春宮:東宮。
※たちはきのぢん:東宮警護にあたる帯刀舎人に詰所。舎人の中でも武芸に優れた者が帯刀を許された。尚、作者は帯刀経験者。
藤原好風
春風は 花のあたりを よぎてふけ 心づからや うつろふと見む
(巻第二春歌下85)
春風は、桜の花のあたりは、よけて吹きなさい。
私は、花が風のためではなくて、自分から散っているかどうかを見たいのだから。
風が吹かなければ、いつまでも咲いているかもしれない。
それを確かめてみたい、と詠む。




