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ひとり寝る 床は草葉に あらねども
よみびとしらず
ひとり寝る 床は草葉に あらねども 秋くる宵は 露けかりけり
(巻第四秋歌上188)
ひとり寝で、床は草や葉ではないけれど、秋の宵は、露に湿るのです。
相手の男に飽きられた、女の嘆き歌。
「秋」と「飽き」をかけてある。
また、この場合の「露」は、その涙。
事情がわからず、相手の男が通って来なくなった場合。
あるいは相手の男が、自分よりも、例えば、若くて美人で裕福な家の女に通うようになった場合。
どちらかというと、後者のほうが、待つ女としては辛い。
ただ、婿取り婚の時代は、優秀な男は取り合いの傾向もあった。
また、優秀な男は、より出世に有利な、格式も高く裕福な家を求める。
そのための離婚も、現代とは異なり、問題視されてはいなかったようだ。




