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ひとめ見し 君もやくると 桜花
あひしれりける人のまうでてきて、かへりにけるのちに、よみて花にさしてる
紀貫之
ひとめ見し 君もやくると 桜花 けふはまち見て ちらばちらなむ
(巻第二春歌下78)
知人が訪れて帰った後に、詠んで花につけて贈った歌。
ほんの一目だけ桜を見て帰ってしまったあの君が、もう一度訪れてくれるかもしれないと期待して、桜花は今日一日は散るのを待ちなさい、もし来られなければ、散るなら散ってしまってかまいません。
惟喬親王の「桜花 散らば散らなむ 散らずとて ふるさと人の きても見なくに」(巻第二春歌下74)を踏まえた歌とされている。




