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のこりなく ちるぞめでたき 桜花
よみびとしらず
のこりなく ちるぞめでたき 桜花 ありて世の中 はてのうければ
(巻第二春歌下71)
桜の花は、残りなく全て散ってしまうからこそ、素晴らしいのです。
世の中というものは、いつまでもあり続けると、最後は嫌なものになってしまうのですから。
これは、桜だけではあるまい。
適度な時期に姿を消してこそ、惜しまれる。
それを欲を張り、いつまでも生き永らえて賞賛を得ようとするなど、実に嫌らしい。
いなくなる時は、「きれいさっぱり」が、やはり好まれると思う。




