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久方の 天つ空にも すまなくに
在原元方
久方の 天つ空にも すまなくに 人はよそにぞ 思ふべらなる
(巻第十五恋歌五751)
遥か遠くに離れて住んでいるわけではないのに、あの人は私のことなど、全く無縁の人と思っているようなのです。
恋い焦がれていても、その女性からは全く相手にされない嘆き。
おそらく見える場所にはいるけれど、元方とは遥かな身分の格差があり、身分の高い女性からすれば「元方など、声をかけるのもアホらしい」そんな感じだろうか。
※在原元方:在原業平の孫。生没年、官歴等は不詳。正五位下で終わる。勅撰入集三十五首。中古三十六歌仙の一人。