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しののめの 別れを惜しみ 我ぞまづ
寵
しののめの 別れを惜しみ 我ぞまづ 鳥より先に なきはじめつる
(巻第十三恋歌三640)
※鳥:夜明けを告げる鶏。鶏が鳴く前に、男は女の家を去らなければならない。
夜明けの別れが惜しくて辛いので、私のほうが鶏が鳴くより先に、泣き始めてしまいました。
互いの思いを尽くした夜が終わり、別れの時。
次に、こんな夜は、いつ来るかわからないので、惜しくて辛くて仕方がない。
※寵:生没年不明。ほぼ9世紀の後半説あり。宮中に勤める女官。藤原公利(9世紀後半の官僚:現天皇家の先祖説有り)が恋人。




