ペンギン三兄弟 〜 22話 焼き魚と猫と の巻
ペンギン三兄弟、チャン、ドン、ゴン。
今日も仲良く暮らしています。
三兄弟が住む小さな家の小さな庭から、
細長い白い煙が立ち昇っておりました。
チャンが、炭火焼の前にちょこんと座り、
うちわ片手に、網の上の魚が焼けるのを
じっと見守っています。
そこへドンとゴンが、匂いにつられてやってきました。
ゴン「なんかいい匂いがすると思ったら、魚焼いてる〜」
ドン「いいねえ、焼き魚」
チャン「おいしそうだろ、ドンとゴンの分もあるよ」
ゴン「お〜、気が利くね〜、どういう風の吹き回し?」
チャン「魚屋で安売りしてたんだよ」
ゴン「ねえ、そろそろ食べれるんじゃない?」
チャン「お皿と箸持ってきてよ」
ドン「おっけー」
3羽は、それから、一匹ずつお皿にとって
縁側に並んで座り、食べ始めます。
チャン「やっぱり魚は焼きが1番だね」
ドン「おさかなおいしい」
ゴン「うまいうまい、もっと食べたい」
3羽は、あっという間に一匹ずつ平らげてしまいました。
チャン「おいしいんだけどね、焼くのに時間かかるんだよねえ」
チャンが、新しい魚3匹を、網の上にのせようとしていると、
庭の隅の方から、ギャア〜、と声がしました。
3羽がいっせいに振り向くと、
そこには、一匹の茶色い猫がいました。
ドン「あ、トラ猫だ」
「ギャ〜ギャ〜」
ゴン「かわいい顔して、けっこうなダミ声だねえ」
チャン「おまえも魚食べたいのか?」
ドン「いっしょに食べよう、おいで」
ドンが猫に向かって、猫招きならぬ、ペンギン招きをしました。
茶トラ猫は、しばらくじっと3羽を見ていましたが、
やがてぷいっと、走り去ってしまいました。
ゴン「あ、行っちゃった」
チャン「遠慮したのかな」
そして、魚がいい感じに焼き上がったころ、
「ギャア〜」
とまだ猫のダミ声が聞こえました。
3羽がいっせいに振り向くと、
さっきの茶トラ猫が、一匹の魚を前に置いて
ちょこんと座っていました。
チャン「あ、魚持ってきた」
ドン「えらいなあ、自分の分用意してきたんだね」
ゴン「こっちおいで、一緒に食べよう」
猫は、前に置いた魚をくわえると
3羽の方へゆっくりと歩いてきました。
チャンが、猫から魚を受け取り、
焼き網の上にのせました。
「ギャオ〜ン」
猫はチャンと並んで、魚が焼けるのを
じっと待ちました。
やがて猫の魚も焼き上がると、
3羽と1匹で、仲良く魚を食べました。
チャン「やっぱり焼き魚おいしいな〜」
ドン「おさかなおいしい」
ゴン「うまいうまい、もっと食べたい」
猫「ギャア〜」
みんな魚が大好きなんだね。
おしまい