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ヒ・ミ・ツ  作者: 神沢 りんね
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手紙の中身

誰も読んでくれてない気がする……


部屋へ入った瞬間、鍵をかける。

こんなことをしたのは、生まれてはじめてかもしれない。


じゃあ、早速私の王子様からの手紙を見ていくとしましょう!

どんな手紙かな?私へ向けたあっつーい恋のポエムだったりして⁉


そうだったら、私、困っちゃう♡


パリッと音がして手紙は開いた。中には、無地の薄紫のキャップ型帽子と、手紙があった。


帽子⁉


帽子って、ちょっと、ロマンスに欠けない?

しかもキャップ型??


まあ、かわいいピンクのバラの刺繍はしてあるけれど。


じゃあ、手紙を見ていくとしましょう!


”” サリー・ルイス様


スーパームーンの夜5時の下、屋上にお集まり下さい。

高校の名の通り、bestな秘密を持って待っています。

帽子をかぶって来てくださることを期待しています。 Q.E.D.


スーパームーンの夜5時、はさておき、屋上ってどこの?

しかも、高校って何高校?

bestな秘密って何?


謎だらけの手紙に戸惑う私。


「ハロー♪」


急いで手紙を隠す。


「だ、誰?」

「……アハハッ。そんなに急いで隠さんくてもええで」


関西弁……。リアじゃない。ママでもない。


「誰がどこにいるの?」


私は手近にあった武器、エアコンのリモコンを持って身構える。


「うちや。ベッドの上。」

「……誰や。」

「あ。移ったんとちゃう?うちの関西弁。」

「だから、あんた誰?」

「うちは、あんたのサポート役として派遣されてきたのっ。名前はフェリシー。」

「態度と偉い違いだね。名前のほうが百倍かわいい。」

「失礼やね。」

「サポート役としてって……。私、何も大変なことしないよ?何をサポートするっていうの?」

「あーっと、それは……デート?」

「デート⁉」

「そや。多分、私は恋のキューピッドとして派遣されてきたんとちゃう?」

「き、キューピッド⁉」

「なあ、一応言うとくと、今日はデートの日やで。」

「ち、違うよ。デートはスーパームーンの日でしょ?」

「それが今日や〜」

「ええええええええ⁉」


そんなこんなで、メッチャクチャ迷惑をかける妖精との生活が始まったのだった。


ーー


ピピピピ、ピピピピ、ピピピピ、ピピp


私は目覚ましを止め、ちょうど今作っている途中の小さなセンスのいいポーチを机の上に置いて、言った。


「フェリシー。昼寝タイムはおしまい」

「ウーン」

「うーんじゃないの。あんたの家はこのバッグでいい?」

「はあ?そんなダサいの嫌や。」


ダサいって……。


「じゃあ、どれがいいの?」

「それや。」

「それって……」


フェリシーは机の上を指差した。


「それは、まだ完成してないのっ。」

「じゃあ、終わらせてや。3時30分までに」

「生意気ね。今もう3時よ?紐着ければ完成だけど、紐がないのっ。」

「そこに落ちとるやんか。」

「え?」


一見、そこには何もなかった。目をパチクリして二度見すると、黒い紐があった。この黒いポーチの紐に最適だ。


「え?さっきまでなかったのに……」

「ほら、さっさと作らんかい。うちを待たせないでな」


上司気取りの妖精って……

私は苦笑しながらも、作業を進めた。


黒いポーチには、白でデザインした私のロゴを入れておいた。

私、こういうの作るのがすきだから、ロゴも作ったんだよね。

たしかに、すごくおしゃれだ。フェリシーがこれを選ぶのも納得。


と、そうこうしている間に終わった。


「よし!じゃあ、今からうちのおうちはここや!」

「相変わらず元気のいいお嬢さんですねえ。」

「おばさん気取りはやめとき」

「そっちは”おばさん”に”大阪の”がつくね」

「はあ?……」


コンコン


ノックの音で私達は静かになった。


「おやつだよ」


リアの声だ。フェリシーをポーチの中に入れ、ドアを開ける。


「誰と喋ってたの?」

「あの、えーっと、日本製のしゃべるバッグを作ろうとしてたの!」

「あ、そう」


リアはそんなことには興味がないらしく、そっけない返事をした。


「おやつ食べたい」


いつのまにか私の横にいたフェリシーがねだる。


「わかったから早く入って」


小声で言うと、前を歩いていたリアが振り向いた。


「あ、ああ、おやつ食べたいなあ……」

「アハハッ。サリーの食いしん坊は治らないね。」

「もちろん!ちなみに、今日のおやつはなあに?」

「今日も私が作ったクッキーだよ。」

「さっすが彼氏10人持ち」

「それは言わないで」

「あれ?リアは照れてるのかな?」

「もういいでしょ」


ママがダイニングテーブルの上にクッキーを運んできた。

こう見てると、リアと言うより、ママが作ったみたいだ。


「……今、私のクッキーに文句つけたでしょ?」

「も、文句じゃない!」


もう。なんでこいつはクッキーに文句をつけると分かるんだ?

……エスパーか何か?


いや、それにしては他のことはバレないし。

そんなことを思いながらクッキーを数枚、ポーチに入れる。


ポーチ、汚しちゃだめだからね。


おやつを食べたあと、テレビを付けると、ちょうどニュースが始まったところだった。


「4時のニュースです」

「ええええええええええええええええええええ⁉」

「サリー、いつも思うんだけど、あんた、喉大丈夫?」

「え?へーきだけど?」

「私は鼓膜が大丈夫じゃないわ」

「サリーの叫び声はテレビの最大音量より大きいからね、大丈夫?」

「ママは?」

「ちょうどヘッドホン付けてたから無事だったよ」

「良かったね」


おいおいおい……

私の声ってそこまで大きいのかな?


「うん、大きいんやと思うよ。」

「フェリシーは黙ってな。あんたってひょっとして、エスパー?」

「顔でわかるから」

「あ、そう。」


私は早速自分の部屋で服を着替えることにしたのだった。

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