藍色に染まる
雲ひとつない空
湿り気のない風
ふわりと届くキンモクセイの香り
嗚呼、なんて素晴らしい季節。
「やあおはよう。独りぼっち少年。」
窓の外から空気と一緒に入ってくる声。
「おはようと言うには短い針が動きすぎているよ。不思議少女。」
彼女は小さく、でも大袈裟に溜息を吐いた。
「きっと独りぼっちだからそんなに面倒臭い言い回しをするのよ。ご機嫌はどうなの?少年。」
なんと失礼な。僕が寂しいなんて決めつけないでほしい。
「苦いコーヒーが甘いジュースになっていた時くらいにはいい気分さ。」
あら、そう?っと言うような顔で少女は言う。
「君と話してると文才がつきそうよ。」
「それは照れちゃうなぁ。」
「ちょっとした皮肉なんだけれど。」
なんだかんだ言って僕の話についてこられるのはこの子くらいだ。
あと何回、彼女と言葉を交わしたら。
僕は君に好きと伝えられるのだろうか。
藍色の感情なんかなしで。
すごく短いですが、自分の好きな表現を詰め込みました。
わかりにくいかもしれません。