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今は激動の時代

すこしばかり変えました。

本当にすいません。

 時代はお約束の中世、文化は西洋な世界で彼女たちは冒険をする。

 魔法は勿論、そこにいる生物までもが地球とは大きく変わっていた。

 人は飛行機の変わりにワイバーンで飛ぶことを覚え、電話の代わりに魔伝というものができた。

 そんな世界の政治は当然発達しておらず、君主制を採用する国しかなかった。


 舞台となるのは一つの大陸の……ある国の話である。


 大陸に大国が3つあり。

 大国とはいかなくても国と呼べるには十分な国がいくつかあった。それらは大国の庇護下に置かれながら、ときには理不尽を、時には屈辱に耐えながら歴史を紡いできた。


 そんな庇護下に置かれた小国、リニエスタ王国に事件が起きる。

 当時の貴族や王族たちの認識は、大規模な反乱であった。


 そして他国もそれに関してあまり関心を示さず、手を出してきたとしても、それは反乱軍の手助けであった。


 ある王は言った。

 「反乱は反乱でしかない」と。いつの世も反乱が起きては鎮め、時には恐怖で、時には話し合いで解決してきた。

 話し合いで解決できる。不満があれば解決してやれば良い。

 国を揺るがすほどの問題にはならない。

 それは着地点が見えているからだと。


「今の内乱は根本に関わるような……。それこそ、貴族や王族が譲歩(じょうほ)できないことを要求している……。そんな気がします」


 かかか! とベガは笑う。

 扇子で扇ぎ、惜しげも無く笑うベガと確信した瞳でベガの答えを待つメル。


「お主の言っていることは正しいぞ。これは歴史に残るほどの事件であり、進歩じゃ。認識したお主に言葉を教えるならば、革命……という単語を発見したことになるじゃろう」


 メルも初めの言葉であり、聞いたこともない言葉であった。

 そして、その言葉と意味を知るのはメルたった一人。


「技術進歩や社会基盤の変革などをさす言葉じゃ。覚えておいた方がよいぞ」

「は、はい」


 メルには言葉の重要性が分かっていないようだが、とりあえず返事はしておいた。

 そうこうしているうちに、馬車はとある村に着く。物資の補給と馬の休憩が必要であるからだ。


「よくぞおいで下さいました」


 歓迎の言葉をいうのは、この村の村長である。

 他にも、女子供がメルの馬車を、騎士を歓迎する。


 普通の貴族であればこうはいかないが、メルの父が善政を行っていたおかげである。

 革命の最中であるが未だに戦火はここまで広がっていない。


「久しぶりですね。ロムさん!」

「ほほほ。メルちゃんも本当に大きくなられたことで」


 村長、もといロムは孫を可愛がるようにメルに接する。メルに親しみを持っているのが分かる光景だ。

 騎士たちも子供たちと遊んでいる。

 貴族として異端と思われるが、それでも彼女たちの地位がそれを許していた。


「時にメル様。あの者は?」


 メルはロム村長の指し示す方向を見る。

 ロム村長が知らないのも無理はない。メルとベガが出会ったのはつい最近のことなのだ。

 つまりロムが知る由など無く。


「初めましてじゃな」


 丁寧にあいさつをするベガ。

 印象からして高貴な方だと言うのは誰もが理解する。


「は、初めまして。ベガ様」


 ロムのこの感覚は初めての物であり、言葉にするのが難しかった。

 強いて言うのなら、王と呼ばれる人物に会う感覚だろう。王と呼ばれる人物に会ったことのないロムは困惑しながらも、貴族とは違うカリスマ性を見た。



 彼らが村に着いたのは午後5時を少し過ぎたころ。日が沈むまで時間はまだあるが、その場合だと野宿ということになる。

 なので、彼らはこの村で一晩止まることになるのだが……。


「暇じゃのう」


 暇になるのは当然と言えるだろう。

 そんなベガが騎士たちの稽古を見学しにきたのは、当然であり。


「あ、ベガちゃん!」


 訓練で怪我をした騎士を治療するメルとであった。

 ベガも手を振りながら近づく。

 以外にもベガと騎士との関係は悪くないのだ。というのも敬愛する主を救ったこともだが、彼女が女性でメルの友達であるからだ。

 メルに友達がいないというのは騎士たちが心配するところであり彼らにとってメルは敬愛する主でありながら、妹なのだ。


「暇であったからのう。誰か手合わせを願いできるか?」


 休憩中の騎士に一声かけた。ザワリとしたのもつかの間。

 そんなベガの無茶に答えたのは若手の騎士で名前を――。


「一番隊隊員、スコット・ラングと申します。不躾ながら私が手合わせの相手をしたいと思います」


 スコットは侮ることなくベガに向かい、礼をする。

 ほとんどの者は思うだろう。こんな少女一人で、騎士に勝てるのかと……。

 確かに騎士たちの印象は良いものであるが、それでもその実力には少しばかりの困惑と疑惑がある。

 メルは助けられたと言ったが本当はメル一人で突破できたのではないかと……。


 広場に集まっている騎士は場を開ける。

 審判を立てていないのはこれが正式な試合ではなくあくまで模擬戦であると言うことを示すため。

 勝敗の結果は重要ではなくベガを見るのが目的なのだ。


 試合前の緊張感が漂う中、スコットは相手を確認し、今までの剣を思い出す。


 今年で17になるスコットは5のときに騎士に憧れ剣を振り。

 神童と呼ばれ8の時に領主の元へ。11のとき騎士団で盗賊の塒を襲撃し、14でゴブリンの巣を1人で殲滅。15で入隊試験をトップで合格し、後の2年は剣と騎士の道に没頭した。


 構えは中段でオーソドックスなそれであるが、無駄や隙は無い。17年という歳月がスコットをここまで強くした。未だに挫折を知らない彼はより多くの強さを求めた。

 とはいえそれは本音の所ではない、彼は嫉妬していたのだ。

 彼とメルの関係は主従関係で兄妹のようなもの。ベガのように相談役や友達にはなれない。そんな心に気付かないふりしながら彼は強く剣を握る。


「気概は十分なようじゃな」


 ベガも短剣を出し、構える。

 スコットは〈スペース〉という空間拡張魔法から取り出したものだと判断した。

 審判のいない模擬戦だ。合図は要らない。

 緊迫した空気は一瞬、しかけたのはスコット。

 飛ぶ斬撃〈空斬〉で先制攻撃を仕掛ける。

 メルの情報だとベガは召喚術師であるそうだ。ベガも自分でそう言っていたので間違えはないだろう。術者に時間は与えないというのは当然であり、常識。

 遠距離攻撃で詠唱を妨害したスコットは即座にベガに近づき斬り捨て――。


「基本は合格のようじゃな」

 

 その言葉を残しベガは消える。

 目で追えないほどの高速移動。

 どこに? という疑問を抱くと同時に、後ろから衝撃を受ける。

 掌底……それは内部に響く、防御を無視した攻撃だ。動きが鈍るスコットだが、我慢して剣を振る。それは空を切ることになるがベガの術を何となく理解する。


「まさか転移魔法?!」


 驚くのはスコットである。ざわめきが伝播する。それは今も解明されていない古代の魔法。空論とされたそれを使うのは和服を着た少女。

 だが、ベガは否定する。


「これはただの召喚術じゃ。しかし名を付けるならば〈自己召喚〉と言ったところか? 召喚術というのは空間移動という側面があるだけの話しじゃよ」


 タネは至ってシンプルであり、自分を召喚するだけである。だがしかしそれは瞬間移動と言う側面を見せたのも事実。

 只者ではないと分かっていたスコットも唖然とする。


「故にこんな技もある」


 ベガは短剣を投げる。真っ直ぐ飛ぶ短剣であるがよけられないほどでもない。スコットもよけようとするが、それは突然消える。

 驚く暇もなくスコットは本能に従って転がる。

 短剣が頭上から地面に刺さる。


「名づけるならば〈物質召喚〉といったところじゃろう」


 それはさっきベガが投げた短剣であった。

 深呼吸をし、スコットは体制を立て直す。

 確かにすごい術であるがタネさえ分かればそれほど怖い術ではないのだ。ようは不意打ち特化、360度を注意していれば対策できるものである。

 強く剣を握るスコットに対して。


「うむ。確かに今の術は不意打ち特化であるが、我の使える術がそれだけだと?」


 ベガは召喚する。


「〈スケルトン〉」


 そのモンスターはゴブリンに並ぶくらいの雑魚モンスターである。装備は錆びた剣が一本と木の盾である。

 ベガを囲むように召喚されたそれは全部で8体。塵も積もれば山となるということわざもあるが、8体は少なすぎる。スコットは脅威になりえないと判断するが――それらはベガに剣を向け、振りかぶった。

 ベガはスコットを指さす。

 嫌な予感がしたスコットはベガに攻撃しようとするが、それよりも速くベガの術が発動する。

 スコットの体をゾクリと魔力が駆け巡る。


「〈召喚術転移系〉」


 スコットとベガの位置は入れ替わり、待っていたのは錆びた剣を向けるスケルトン。

 動けば斬られるその距離でスコットは潔く、けれども悔しく宣言する。


「参りました……」


 ベガはスコットの敗北を受け入れた。

 


添削しました。

内容に変わりはないので悪しからず。


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