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秘密の決意

 ベガの襲来によって王都では多くの混乱が起き。

 メルは朝から激務をこなす羽目となった。

 経済の混乱もさることながら、王都から国外に出る人々など。

 冒険者たちも巻き込んだ混乱は一応の策を打つことでひと段落し。


「……」


 メルはソファーでうつぶせに寝ていた。

 執務室はいつにもまして散らかっていて、あちこちに書類が落ち。

 こぼしたインクも拭かずそのままの惨状を表した。

 そんな散らかった部屋をイナバが掃除しながら。


「だ、大丈夫ですかメル様?」

「……」


 返事がない。

 ただの屍の如く寝ている。

 しかしそれでもイナバはメルを起こさなければならず。


「起きて下さい」

「……うえ?!」


 肩をゆすり、ガバリと起きたメルは。

 髪の毛も乱れ目も半開きだ。

 いつもの私服も肩が少しはだけていて激しく運動したような乱れ方だ。

 そんな疲れもとれていないメルを服装整ったイナバが起こしたのは。

 これからの事を尋ねるためと一応食べ物を用意したからだ。


「……昼食も兼ねた食事です。加えてもうそろそろ演説が始まるかと……」

「…………ああ、イワンシーさんの?」


 のろのろとした動きでメルはテーブルの上にある軽食。

 サンドイッチを手に取った。

 右手に取ったそれをムシャムシャ頬張り、ついでに左手にもそれを持つ。


「モグモグ……。民を安心させるために討伐軍を編成したとのことです。それで一応人口の流失は対策できると」

「はぁ……。ベガ様は本当に嫌な手を打ちますね……」

「どういうこと?」

「“一週間後に攻める”と言うのが厄介だと言うことです」

「……」


 メルはジッとイナバと視線を合わせた。

 その意味するところを読み取って。

 左手にあるサンドイッチにかぶりつく。


「翌日……、明後日であれば逃げられないと悟って戦う準備をしますが。一週間と言う時間を与えることによって人口の流失が起きます」


 イナバは適度な猶予は人に逃げると言う選択肢を与えるほか。

 分断を迫る結果にもなっていると考えた。

 加えて国債の保有者のほとんどが商人か冒険者であるので無下にできない。

 だからこそ。


「イワンシー様やマクスマーク様は、これ以上リニエスタ王国の価値を下げないために攻めるしかないのです」

「……」


 メルは感嘆とした表情でベガの狙いについて聞いていた。

 猶予を与えることで有利に進むベガの戦いにハタと気づくことがあって。


「国の価値を落とせば、誰も王位を継がなくなる?」

「……確かにそうですね。しかし国の価値を落としすぎると国民も付いてきません。別の手を考えるべきかと」

「そ、そうですね」


 目下の王位継承問題について一瞬だけ光明を見た気がしたが。

 それだと民が付いてこなくなる。

 結局のところメルは再び考え込み。


「いやでも……国価値を落とす……いっそのこと国が無くなるほどに……」

「メ、メル様」

「穏やかな言葉では無いですが、それでも」


 一考する余地はあった。

 と言うのも現状。

 イワンシーやマクスマークを排除してもまた新たな王が派遣されるからだ。

 今回は上手くいっても次の事を考えれば。


「……新たな国を興すにはどうすればよいのでしょうか?」

「ほ、本気ですか?! メル様!」

「“王国”を名乗る以上、王は必要です。ならば違う名に……違う国にしたらよいだけの話しです」


 スッとした真っ直ぐな瞳は動揺するイナバの瞳を見ていた。

 余りにも大胆な言葉と思考に圧倒されながらもイナバは言葉を落ちつけて。


「大陸会議で通れば大丈夫良いですけど……。周辺国の容認もある程度必要です……」


 イナバは取りあえずそのように言葉を返した。

 周辺国の容認……この場合は大陸会議まで国が存続できるのかと言う意味だ。

 いきなり国を名乗っても武力で押しつぶされれば意味はなく。

 反乱軍の烙印を押されればそれまでだ。


「ミラル奴隷国とは密約を結ぶ必要がありそうですね」


 メルは秘密裏に国を作ることにした。

 しかし、この話しはベガが彼らに勝利することを事前提とした話で。

 上手くいく保証など無い。

 だがこれ以上に手が無いのも事実だった。

 国内で新たな王を選ぶことが出来ず。と言って国外のものに国を好き勝手にさせるわけにはいかない。


「……」


 メルはミラル奴隷国に渡ることを決意するのであった。


う~ん、実際に国を興すにはどうしたらよいのでしょうか?

やっぱり国連に話しを通す必要はあるのかな?

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