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二つ目の名

更新は未定です。

すいません。

 ベガは貴族たちの参加する舞踏会に参加せず。

 〈ジャンヌ〉や〈ランスロット〉、イナバと会合していた。

 今……ベガたちがいるその場所は薄暗い地下であり、かつてはある秘密宗教の教会だった。

 しかし今は面影を残すのみで黒焦げた椅子や燭台が散乱していた。

 向かい合って話すのはイナバとジャンヌで。


「そ、それで……敵の情報はつかめたのですか?」

「敵という言葉は早計ですよ。イナバ、今彼らを表す言葉として適切なのは脅威となる存在です」


 暗がりの中、注意深くこの会話を続けた。

 注意深くという言葉が示す通りこの会話は聞かれてはならない類の会話で。

 今現在もイナバとベガが繋がっていること示す証拠だ。それ故にこのような場所で彼らは情報を交換している。


「直接の戦闘を見たわけではありませんが、二つ名や彼らが持つ武器に関しての情報は得ております」

「さ、流石〈ランスロット〉……」

「別にたいしたことではありませんよ、イナバお嬢様。酒場で聞く限りの情報ですし、有名な方ほど名やその特徴的な武装が広まるのですから」


 二つ名やその人物が持つ武器程度なら確かに簡単に手に入る情報だ。

 その上で……この簡単に手に入った情報と言うのは。


「〈銀の霊剣使い シル〉、〈紫竜の針 グロース〉、〈大地を割る ロンジェル〉、〈百薬 テレミール〉と言った者たちがルートヴィヒ王国の騎士たちです」


 以外にも有用だったりする。

 例えばここで呟かれた〈紫竜の針〉という言葉に思考を飛ばせば。

 グロースと言う人物が針に似た武器……あるいは“針”を武器にしていることが分かり。

 紫竜という言葉が差すように猛毒を使う可能性があるとよめる。


「アルコーン帝国の戦力に関しては囚人……彼らの事について調べました」

「ほう?」

「〈人喰らい ロボ〉、〈深緑の魔女 アザナ〉、〈叫びを伝える ドヴァルド〉そして」


 しかめた〈ランスロット〉と不思議そうに見つめるベガ。

 扇子で口を隠したまま、瞳だけが訝しく揺らいだ。


「〈大放火犯〉……そう呼ばれるものが居ました」

「?」

「最近捕まった者だそうで、情報が少なかったのです」


 最後だけ名を言われなかったことにイナバは疑問を抱いたが。

 深く追求しなかった。

 ともあれ一通りの情報は揃い、相手の武装やその戦闘方法に大方の見当は付けた。

 二つ名は正しく相手の外見的特徴やその戦闘方法に起因してつけられるものがほとんどだ。

 殆どであるが故に。


「……結局それ以上の事は分からなかったのですね……」

「イナバお嬢様。切り札と言うのは得てして見た者が少ないと言うことです。その技を見て生存したものはおろか、その状況で生き残った者も少ないのです」

「……」


 彼ら一流の騎士や戦士がそこまで追い込まれる状況と言うのが。

 そもそも少ない上に激戦での戦いだ。

 そんな戦場で生還した者も少ないと言えた。

 だからこそ、彼らは見た目の上でしか判断できない情報しかなく。


「かかか、まあその程度の情報しか集まらぬのが当たり前じゃろう。その上で何を考えるかが重要じゃよ」

「?」

「備えると言った方が良いかのぅ。噂程度の話しでも、ない名は呼ばれぬと言う。誇張する話であっても元となる出来事は確かにあるのじゃよ」

「元となる……ですか?」


 今のところイナバは彼らの外見的特徴しか分からない。

 分からないが、戦闘と言うのは何かを備えることだと言うのは知っていた。


「想定だけはしておくとよいぞ。加えて我らの事も知られていると考えるべきじゃな」

「知られている……?」


 イナバは驚いた顔をしながらまあ当然かと納得もする。

 ベガにしてもイナバにしてもある程度の知名度はある。

 何せリニエスタ革命は彼女らの活躍無くして語られず。

 まして、ベガと言う存在は悪名高く語られているからだ。


「イナバは〈竜を操る獣人〉。我は〈影を操る者〉という名だそうじゃ」

「う~ん、何とも表面上な名前ですね……。ベガ様の二つ名も影が注目されるようになったのですね」

「かかか、戦えば戦うほど手札は晒される物じゃ。そうした中でも我らは勝たねばならぬが」


 名と言うのは常に更新され。

 また情報も拡散される。

 特にベガの場合は転移系召喚術や英雄たちの影を操ることなども知られているだろう。

 扇子で口を隠すベガは確かにやりにくさを感じられるようになる立場だ。

 しかし。


「くひひ、ちょうどいハンデじゃよ。召喚術士と言うのは手札を『知られたから』と言って簡単に負ける存在では『無い』からのぅ」

「「「……」」」


 ノイズが走り、やけに嬉しく笑うベガとクスリと微笑みを返したイナバたち。

 普通であれば必殺の技や好みの型などをバラされれば不利になり敗色が濃くなる。

 だが事、召喚士に関しては例外的であると表現できるのであった。


「さてさて、レオジーナには伝えたか? そろそろ時間じゃ」


 ベガの呟きは運命を決める相手。

 その相手に向けて呟かれたものであり、ダンスパーティーに出席しているレオジーナに向けての言葉だった。

 転移術で移動するベガは即座に煌びやかなその場所へ。

 侵入するのであった。


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