密談を経て
制服姿であるはずなのにドレスと表記しました。
すいません。
事件の解決は一応、リリィがその損害を被ることで終わりとなった。
しかし。
疑問が残るのは確かであって。
「リリィさん」
「……何よ」
「どうして庇ったのですか?」
「……」
むっとした表情のリリィは純粋な疑問を抱くメルに。
迷いを見せた。
それは話すべきか、それとも黙っておくべきかの二択を迫られたからで。
「専門家が見ないと真相は分からいものよ……。特に粗悪なものが出回っている状況ではね」
「?」
「知らなくていいことです」
諦めを見せたリリィは視線を微かに壊れた馬車に向けた。
嫌悪するような視線は車体に刻まれ。
真の原因を語っていた。
「何か……しっているのですか?」
「知っているわ……。知りすぎて困るくらいにね」
「わ、私に何かできることがあれば……」
メルは余りにも寂しそうにしているリリィに何か助けられないのかと尋ねた。
ただ、メルに真実を告げるかはリリィの判断するところであり。
「悪いけど貴方じゃあ、足手まといだわ。其れに……危険もあるわ」
あしらう様にリリィは背を向け冷たく言い放った。
リリィはことがそう単純ではなく。彼女が告げるように危険もあった。
加えて、かすかに芽生えたこの気持ちは。
メルと放課後に魔法を練習した故に培われた感情で、メルのことを思ったのであった。
要するに。
只今、リリィが苦しみの表情をメルに隠しているのは己の心情を悟られない為と己の弱さをこれ以上見せないためであって。
「分かったのなr――「分かりました」?」
被せるように断言したメルは小さく笑う。
それに対してリリィは訝しく思ったわけだけど。
背を向けたままのリリィにメルがひょっこり顔を向けて。
「要するに助けても良いってことですよね」
「はい?」
「リリィさんは私の学友です。だからこそ……助けさせてもらえませんか?」
パクパクと開いた口が塞がらないのはリリィで。
この状況を必死に整理していた。
なぜ、この子は笑いながら制服を摘まみ頼んでいるのだろうか。
どうしてこの子はここまで堂々としているのだろうかと。
潰えない疑問に困惑する中、メルは断言するように。
「まあ、リリィさんが何と言おうと私は勝手にしていたつもりですし」
「! 貴方ねぇ……!」
「すいませんが、私は“我が儘”なのです」
「……」
我が儘と言う言葉を出されては。
感情論で答えるしかない。
リリィも論理的に考えればルメールを……平民を巻き込んではいけないと考えられるが。
心細さとこの状況に打つ手がないことも理解しており。
「一人で背負い込まないで下さい。こう見えても私……頼りにされているんですよ?」
「ふふ、下らない冗談ね」
「むむ……」
小さく笑みを交えたリリィはどの道、ルメールは関わってくるのだろうと。
まして、いくら罵声を浴びせようと関わってくるのだろうと知っていた。
それは放課後に付き合っていた練習や何気ないクラスでの関わりを通して学んだことで。
「分かったわよ。貴方には付き合ってもらうわ」
「あ、ありが「ただし」?」
一つ、伝えねばならないことがあった。
それは上下関係をはっきりさせる言葉でルメールを抑止するための言葉だった。
「無茶はしないで……」
「ふふ、分かっていますよ」
シフォンが学校に入学した目的は単にメルの護衛で。
それ以上でもそれ以下でもない。
だから彼は比較的に暇……監視のみで業務を終えているわけだけど。
「ん? おやおや、君はいつぞやの」
「……」
遠目からの挨拶は対面する形で行われた。
シフォンは貴族然とした態度、装備で彼らに挨拶して。
逆に挨拶された方……ユリウスらは少し小汚い恰好と言えるだろう。
身分の差と言うのはその恰好から十分に判断出来て。
「何の用だよ」
「つれないねぇ。あの時は助けてあげたのに」
「助けを頼んだ覚えはない」
冷たく言い放つ彼はすぐさま、シフォンの横を通り過ぎようとした。
だけど。
「中々興味深い事件だ……。ただ、こっちも手が出せない状況でね」
「……」
「ここでは人目があるし、別の場所で……ね」
其れだけ言い残して。
シフォンはユリウスと別れた。
耳元で囁かれた言葉といつの間にかポケットに入っていた紙を見れば。
この後ユリウスがどうするかなど考えなくても分かることだった。
紙に書かれた切れ端を参照に。
ユリウスは放課後の庭に来ていた。
なぜ彼がここに来たのかと理由を問われれば、シフォンとの情報共有や貴族社会について聞きたかったからで。
「おお、来てくれるとは~~」
「仰々しくしなくていい、手短に頼む」
庭園の花弁が夕焼けに照らされる。
緊張を持って佇むユリウスとは違い、シフォンはひょうひょうとした趣で話を進めた。
密会はシフォンから語ることで始まり。
「はいはい、じゃあまずボクが調べたことだけど――」
シフォンの人となりを計っていた。
現状、シフォンはメル側に付く貴族で位の高い者だと推測できており。
理由としては警羅団の視点から事件を追っていたことと情報の収集に自信……もしくはソースに対して信頼できる筋から来ていたと分かった。
「とまあ、そんな感じさ。さて、次は君たちにたっている噂について知りたい」
「……」
とにかく、ユリウスはシフォンの人となりと言うのを。
この短時間の会話。
そこから導き出せる情報収集の仕方などで正確に判断出来ており。
信用してやっても良いと言う段階まで心を開いていた。
だから。
「メル様に不信感を募らせる人は今のところ少ない。ただ、それも事件が大きくなればなるほど変わってくるだろうな」
「……なるほど、君はボクが思っている以上に頭が良さそうだね」
「俺から聞きたかったことはそんなところだろ? 俺が集めた情報よりもそっちの方が正確だしな」
相手が知りたいと思っている情報。
世論についてユリウスは語った。
それは平民に顔が聞くユリウスだからこそできたもので。
もし仮に警羅団の人間がこの調査を行っても。
同じような結果は得られなかっただろう。
何せ警羅団の人間の前で、メルの悪評を言うにはそれなりの勇気が必要だからだ。
いわんや。
「平民たちにそこまで不安が広がっていないのは好都合だね……。統制をしようとまで考えていたけど、そこまで大げさじゃないのかな?」
「メル様が思っていた以上の功績を持ち帰ったからな。不安感はそこまで広がらない」
「職種や階級によってこの不安感の違いはあるかもしれないけど……。国を揺るがす程でもないか……。加えてメル様の帰還と功績が相殺したと」
考え込むシフォンは国家の転覆にはまだ時間がかかると判断出来て。
「きたんのない意見をありがとう。出来れば君とは定期的に意見を交換したいね」
「……そうだな」
「?」
シフォンとユリウスは定期的に会うことを約束で来た。
できたのだが。
最後の気のない返答にシフォンは何か言いたげなニュアンスを感じて。
「……はぁ、まだ何か聞きたいことがあるのかい?」
「……」
「あのねぇ、こっちは君が思うより暇じゃあないんだ。聞きたいことがあるのなら、今の内に聞くべきだよ」
それでも沈黙を保っているユリウスは。
借りと言うものを恐れていた。
何せ、ユリウスら平民にとって貴族とは権力の為に様々なものを犠牲にしてきた者たちで。
冷酷な者だという意見が多くあったからだ。
故に、貴族に借りを作ってはならないと言い伝えられてきて――。
「はぁ、一応ボクは今から独り言をしゃべる」
「?」
「事件の裏にいると思われる貴族はゴレイン卿だ。そしてそのゴレイン卿は近々結婚をするらしい」
「……」
「貴族の結婚と言うのは殆どが権力抗争の為で、この婚約によってゴレイン卿の勢力は拡大するだろう」
ため息を交えながら。
シフォンは今後の展望を予想しながらも。
「あんな男と結婚するのはさぞかし不幸だろう……。リリィ・カーズと言う子も気の毒に」
「!」
この言葉を聞いたとたんだった。
ユリウスの目に確かな興味を抱いたのは。
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