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彼らとの違い

テンプレですがご了承を。

「……治療ですか?」

「そうじゃ。焔竜を倒すにはこやつの力が必須なのじゃよ」


 メルとベガがいるのは『竜の集う場所』雪山からの風が届く場所であるが、陽の光がそれを温める。


「またメル様に無茶をさせるつもりか?」


 そう鋭く言うのはシフォン。

 ベガも苦い顔をしながらそれでもワイバーンの力は必須なのだ。


「我も無茶だけはさせないつもりじゃ。だが、我らで焔竜を倒すにはこやつの力が必要なのじゃよ」


 頼るのがメルであるのは、やはり彼女が一番聖術に関して才能があるからだ。

 シフォンもベガのことを認めつつあるが、それでも主が害されるのを見てはいられない。声を荒れ立てて、反論しようとしたが――。


「やらせてください」


 宣言するのはメル。

 一度失敗したことであるが、もう一度挑むのはベガの言葉を信じたことと、メルがやらなければいけないことだからだ。

 止めようとするシフォンであるがその瞳を見て諦める。


(本当に、こういうところは親子そっくりだよ)


 ため息を吐くシフォンをよそに決意を秘めたメルはワイバーンの元へ一歩踏み出す。

 落ち着いて呼吸を一つ置き、手をワイバーンにかざす。


「〈セイクリッドヒール〉!」


 地竜の全身を照らすように光が差す。

 神聖なそれは温かく、悪を払う力を持つ光であったが

 ――治らない。


 悔しそうにするメルは再び手をかざす。

 だが。


「慌てるでない」


 ベガの小さな手がメルの袖を引く。

 それによって注意がそれるメルはベガを見つめる形となる。

 意外と近くにいたベガは至近距離であった。

 ベガの瞳が良く見える。


「がむしゃらにやっても駄目じゃ」

「……うん」


 それは子供を叱る母の瞳。

 無茶は絶対にさせない。

 けれども、メルを信じる瞳でもあった。


「……我の為に頑張ってくれるか?」

「勿論だよ!ベガちゃん!」




 かれこれ数十回は聖術を唱えた。

 途中、イナバが飲み物を用意するなどして休憩をはさんだ。

 けれども回復の見込みは無い。

 勿論、やり方が悪いのではないかと試行錯誤した。

 例えば、ベガがメルに抱き着き魔力を送るといったことや、ポーズを変えるなど無意味なことや、おふざけも含めてだ。


「はあ、はあ、治らないね」

「……そうじゃな」


 疲れを見せるメルにベガは心配そうに見つめる。

 シフォンも見守ることしかできない。

 そしてシフォンはぽつりとつぶやく。


「無理なのでは?」


 その呟きは勿論ベガたちにも聞こえた。


「原理的には可能じゃ」

「原理的って……第一、彼らは体の大きさは勿論、中身まで違うんだよ?」


 口論になるシフォンとベガ。

 静かに考えるメルは思う。


 確かに魔物と人は体の作りが違います。それでも人種ではないエルフであってもその効果を発揮できるのはやっぱりベガちゃんの言葉が正しいから?


 エルフは人種をはるかに超える寿命を持つ種族であり、魔法の得意な種族でもあるのだ。中身は全くと言ってもいいほど違う彼らであるが、ベガの言っていたこと、聖術は生命力の回復をさせる術であるならばその理由は説明されている。

 けれども、魔物を治せないのは何故か?


 考えたメルは一つの可能性を見つける。


「イナバさん」

「はい?」


 言い争う二人をよそにメルはイナバの元へ寄る。


「ワイバーンたちは毒を飲んだんだよね?」

「はい。胃などの内臓を悪くさせる毒です」


 その一言でメルは解決できる糸口を見つける。

 単純なことであったのだ。


「かの者を癒す聖なる光よ――」


 目をつぶるメルは集中する。

 言い争っていたベガとシフォンはその光を見て驚く。


「狭くないか?」


 その光はワイバーン全体ではなく、局所的に光を当てていた。

 でも、その光は力強く、陽の沈む夕焼け空を明るく照らす。

 フワリと何かが落ちる


「――その命を照らしたまえ〈セイクリッドヒール〉!」


 白い羽が落ち、ワイバーンの体に当たったそれは正しく天使の羽のようであった。

 白い光がワイバーンを包み。


「グル?」


 閉じていた目を開いたのだった。


「やった! 成功しましたよ!」


 喜ぶメルにシフォンは唖然とする。

 そして、ワイバーンが感謝の証にメルの頬をなめるのであった。

 

 一体なぜという疑問がシフォンに渦巻くが――。


「なるほど、術の範囲の問題であったか……」

「どういう意味だ?」


 まだわからないシフォンはベガに尋ねる。

 勝ち誇った顔をするベガにシフォンは悔しそうにする。


「効果を一点に集め、威力を上げただけじゃよ」


 思い出すのは光が照らす範囲であった。

 通常は体全体を包むように治療するのが当たり前であるが、ワイバーンや体の大きいものだとその光を大きくするあまり本来の威力が下がってしまうと言う弱点があった。


「そこに気付くとはさすがメルと言ったところじゃよ……」


 単純でありながらも誰もが見落としていたそれ。

 けれでも、メルの思いが、才能が、それに気づかせたのだった。


「くすぐったいですよ?!」


 感謝の印だろうか。

 ワイバーンはメルを優しく舐めていた。

 ほっこりとするシフォンとベガ。


「まあ、色々あったが取りあえず準備は完了したのじゃ!」


 日が暮れて、星が輝きだす時間帯。

 今日という一日は終わってしまったが、それでも明日の決戦に向けての準備は整ったと言える段階だった。



これで焔竜を倒す材料はそろいました。

一応メルは頭がいい設定ですが、賢く見えましたでしょうか?

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