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誰の従者?

というわけで、新キャラ登場です。

「ひ、ひいいいいい!」


 やることもないメルたちが、ブラブラと散歩を再開した時事件が起きた。


「あ、朝から一体何が?」


 心配するメル、シフォンたちは武装を整える。

 ベガは困った顔をしながら、騒いでいる方を見ていた。


「メル様」

「少し見るだけだよ」


 心配なシフォンたちはメルの言葉がいまいち信用できなかった。

 けれどもピューと駆け出すメルに、護衛たちは遅れる。


 少女の声?

 広場の方からかな?


 人が集まり騒がしい広場で、メルはかき分けながら現場へと足を進める。

 最前列へと躍り出たメルは兎の獣人の少女、そして担がれて連れてこられた。火傷で気絶している兵士を見た。


「わ、私は従者イナバです! だから、そ、その槍は仕舞ってください!……」


 首を振り、拒絶の反応を示すイナバ。

 追い詰められた兎のように涙目をしている。


 従者?こ、こんな小さい子が?!


 驚くメル、そのイナバを囲む者はいない。強いてゆうのなら目の前にただ一人立っているハーフエルフ戦士だけなのだが。


「……?」


 待機時の戦士に怯えるのはイナバという少女。

 ハーフエルフは細い体で、厳つい体とはほど遠いものだが、その持っている槍に怯える。

 白い大きな兎耳と左目を隠す長い髪が特徴的な少女であった。

 スタッフを両手に持ちプルプルと震える様は保護欲を掻き立てて。


 じゅ、従者?


 誰の? と言う疑問よりも早く現れるのはベガ。

 小さな身長と小さな胸が功を制したのだ。


「朝から騒々しいのぅ」


 いつの間にか野次馬たちをかき分け、そこへ躍り出るベガ。

 落ち着いた声でそう言った。


 白い防寒服のようなモコモコした服を着るイナバはその声に反応する。

 怯えていた顔はいつの間にか安心と、抱擁を求める泣き笑いの表情へと変わる。


「ベ、ベガ様~~!」

「よくぞ来た、イナバ」


 抱き着くイナバをヨシヨシと撫でる。

 怖かった、怖かった。と連呼するイナバ。

 イナバは兎の獣人で一般的な身長であるが、それはベガと並ぶほどであった。


「怖かった。本当に怖かったんですから~」

「相変わらず、お主は怖がりじゃのう」


 微笑ましく再開する二人。

 それを見ていたメルは――。


 い、いちゃいちゃしすぎじゃないかな?


 やっとのことで抜け出せたメルは押し出されるように、2人の前にいく。


「こんにちは、イナバさん。私はベガちゃんの友達のメルです」


 いつものように笑顔をしようとするメルだが、声色が少し狂う。

 慌てて挨拶を返すのはイナバ。


「は、初めましてメル様。私はベガ様の従者イナバと申します」


 しどろもどろする二人であった。

 

 なんか、不機嫌な感じになっちゃったんだけど……。


 お、怒っているのかな?何か私、失礼なことを。


 嫉妬するメルと勘違いするイナバ。変な雰囲気になる。 

 が、イナバが連れてきた兵士が丁度良いタイミングでうめき声を上げた。


「うう」


 体には煤が付いており、疲労しているのが分かる。

 イナバが引きずったからだろうか。膝には泥が付いていた。


「ところで、イナバさん。その人は誰ですか?」

「気絶しているのを助けのですが、え? メル様の騎士ではないのですか?」


 しばし沈黙する。

 到着したレオジーナとスレインも首振る。

 そして、野次馬たちがその騎士を一斉に見つめた。

 じゃあ、こいつは誰だ? と。


「うう?」


 そうして意識を取り戻した兵士。

 微睡んだ眼をしながら、頭を振り、意識をはっきりさせる。

 そしてハーフエルフを見て驚く。


「ど、どうして森人がここに?!」


 慌てる兵士は立ち上がろうとして、こける。

 運が悪かったのだろう。勢いよくぶつけたのは後頭部で、頭には星が廻っていた。


「メル様!」

「……これ、王国軍の装備です」


 思い出したスレインとレオジーナは彼の所属を言った。

 つまりは敵兵であるのだ。




「なぜここに王国兵が……?」

「まあ、その為に我はイナバを呼んだんじゃ」


 広い会議室にはメルとベガ、シフォンを含め、ハーフエルフたちシュタイヤとシュワルツ。

 意味が分からない答えにシーンとする。

 そして。


「ベガ様、答えになっていませんよ」

「それよりも、イナバというのは何者ですか?」


 レオジーナとスレインだ。

 捕らえた兵士はその傷と疲労により、今も眠っている。


「お主らには教えとらんかったのぅ。我の従者で竜に詳しい者じゃ」


 そう答えたところで、イナバが会議室に入ってくる。

 お辞儀をし、メイドのようにベガの横へと向かう。


「で、どうじゃった?」

「は、はい。ベガ様が睨んだ通り、“毒”によるものでした」

「毒……だと」


 驚くのはシュタイヤを含めたハーフエルフたち。

 だが同時に疑問が残る。


「しかし、地竜とワイバーンでは食べる物が違うぞ?」

「はい、けれども“水”はそうでしょうか?」


 イナバは確信を持った声で話す。

 騎士団とハーフエルフが最初に出会った小川は地竜やワイバーンの水飲み場であったのだ。ハーフエルフたちは井戸水を飲んでおりその影響は受けなかったと言えるだろう。


「いったい何の目的があって……」

「決まっておろう」


 注目がベガに集まる。


「こやつらの目的は森人を殺し、森を手に入れるためじゃ」



クリスマス用の話を作りたかったのですが、無理でした。

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