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疑惑の先へ

短いです。

ごめんなさい。

「腕に痛みはありますか?」

「うふふ、今はまだ感じません」

「倦怠感や吐き気などの症状は?」

「ありません。ただ、聖術の行使に多少の違和感があるのは確かです。それと痛みに関しては内側から……そうですね。燃やされている感じ……ですかね? 灰と一体化していると言うことでしょうか?」

「……」


 灰蝕病についての症状は粗方理解した。

 ただ、問題は未だに感染源が分からないこと。

 メルは悩みが伝わり地下室の実験器具を照らす炎が揺れた。

 質問を終えたメルに変わって、紫の髪が前に出る。

 椅子に座るダスクに少女は平然とその腕を触り確かめる。触診はかなりのリスクがあるのでメルの代わりに。


「クスリ、字のごとく灰が蝕んでいますね」

「ええそうです。カトリーナ様。炎は上がらずただ燃える。炎は確認できませんが、薪は私の命と言ったところでしょうか?」


 微笑むカトリーナに余裕の笑みを返すダスク。

 彼女はグラム教の狂信者故、死に対して何ら恐怖を感じていないようだった。

 加えて。


「屍の上に正義は築かれる……。正義の礎になるのでしたらこの命。惜しくは無い」

「流石グラム教国のエインヘリヤル……。死を前にしながら悠長に構えられるのはその精神が有るから……ですね」


 しばらくその腕を確かめ身から出た灰を調べるカトリーナ。

 水に溶け、濁ったその灰色の水は。


「……過去にこの病と同じ症状を持った伝染病を知りませんか?」


 カトリーナがフラスコに満ちたそれに一さじの粉を入れた。

 青く光るそれは魔力的な反応がある証拠で普通の病ではないことを示した。

 カトリーナは瞳をダスクに向けた。クスリと笑った彼女はこの病に関して何かを知っているようで。


「近年ではアズベルの村でそう言った事件があったそうです。感染は村を燃やしたことで収まったそうですが……」

「ナガリさんも知っているのですか?」

「はいメル様。私も丁度その時にこの国を訪れていたので知っているのです。騎士になる前、私は冒険者だったのです」

「へぇ~、そうなんですか……」


 代わりに答えたナガリは懐かしむように視線を彷徨わせた。

 過去の冒険を思い出していたのであろうか。

 メルはそう思い今度ナガリに冒険譚を聞こうと思案したようだった。


「そ、それでカトリーナ。そのことと今回の事。何か関係があると?」

「同じ病が流行ったのです。無関係とは言えないでしょう。ただ、ダスク様がそれについて調べているものだとおもっていたのですが……」

「うふふ、私もつい最近調べて分かったのです。現地の調査をしようと思っていたのですが……病にかかったこの体ではもはや叶わぬことです。加えてアズベルの村は“私の領地”ではなくもう一人のエインヘリヤルの領地です」


 ヒントがあるとしたらそのあたりに成るのだろう。

 現状得られる情報はダスクの事だけなので不足している。故に昔の事件を調べる必要もあるが。


「私、ダスク・カマエル・スカーレットはこの“一連の事件”に裏切り者がいると確信しています。強固に守られた神器を盗むには、例え〈天使を喰らった者〉と言えども協力者が必要であると考えているからです。それに病の流行は“帝国側”の国境から来ているもの……だそうです。そう……丁度もう一人のエインヘリヤル、“エルス・ラファエル・ホワイト”がいる方向に」


 糸は一本の真実につながっていた。

 暗く閉ざされた地下の空間に、疑惑の思いが確かに沸き上がった。


問題解決とキャラの背景が難しい……。

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