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メルの無自覚

一人称を書いてみました。

次の投稿はいつか決めていません。

 メルが連れてこられた場所は会議室のように広く掘られた空間だ。

 来客と同時に仮面を外す彼ら。

 上座、一番奥に座るのは人間にしては長く、エルフにしては短い耳を持つものハーフエルフだった。


 「……」


 思うメルはジロジロ見るのは失礼だと思い視線を戻す。

 対してハーフエルフたちはメルと注視したまま。


「ようこそ、おいで下さいました。手荒な手段であったのは許してほしい」


 皴のある、老年な男のハーフエルフが言葉を発した。

 彼を中心に数人のハーフエルフが扇形に囲っているのを見ると、彼が一番偉いのだろう。

 胡坐をかく彼らと正座をするメルとベガ。

 少し緊迫としながらも緩やかな空気もあった。


「まずは名乗らせてもらおう。私は南の森の里長、シュワルツ・オルネオスだ」

「は、初めまして、私はメーテル・ラ・シュレインゴールです」

「我はベガ、メルの参謀兼懐刀じゃ」


 自称であるが臆することなく言うベガ。

 慌てるのはメルで「それって自称だよね!」とツッコミそうになる。

 緊張しながらも、相手の目を真っ直ぐ見つめるメル。

 対するハーフエルフのシュワルツは。


「ほう。中々気骨のあるお嬢さん方じゃないか。彼女が隊を率いていたのもあながち嘘ではなさそうだ」

「当然よ。我が目を付けた者じゃぞ?」

「ちょ、ちょっと!」


 メルが赤くなってベガを睨むが可愛いものだ。

 その可愛さにほおを緩めたシュワルツ。

 だけど。


「本題に入らせてもらうぞ」

「さてさて、何でしょうか?」

「ここでの滞在を」


 そうベガが言ったとき、シュワルツのそばに座る若者が立ち上がり


「そ、それはできない!」

「人種がここにいると森が汚れる!」


 と反対する。

 人が嫌いなのは彼らのむき出した歯と突然立ち上がった行動によって推測できた。

 ただ、そんな行動に対して違和感があったのは事実。


 「……」


 彼らが人種を嫌うのに、迫害の歴史があった。

 どんな扱いをされ、どのように追われてこの森についたのか知らない。

 だが。


「……どうして焦っているのですか?」


 メルが疑問を持つ。

 普通であれば、彼らが反対する理由は恨みである。

 しかし、そうでないとメルは看破した。


「あ、焦っているだと?!」

「はい、私にはそう見えるのですが……。何か困りごとでも?」


 メルは相手を心配するように問いかけた。

 純粋に相手を思う気持ちはメルの気質。

 伺うように……でも失礼無いようにメルは優しい瞳で彼らと対話するだが。


「メルよ。お主の思う気持ちは美しいものだが……」

「え? あ、すいません……」


 扇子で口元を隠したベガに、注意された。

 それはただ単にハーフエルフたちの問題に突っ込みすぎたからだと判断した。

 そんなメルを見て焦っていた若者も一先ずの落ち着きを見せた。


 どうして焦っていたのだろう?


 その疑問はメルを中心に渦巻くが、シュワルツが話し始めたことで一先ず考えを放棄する。

 たぶんこの答えをベガは知っていると思うが――。


「……3日間の滞在ならば許可しましょう」

「感謝するぞ」


 いつの間にか話は纏まり、結果だけが残る。

 けれども、問題の解決にはなっていないし、騎士との軋轢があるのは確かだ。

 このままではいけないとメルは判断する。

 何とか会話をしようと発した言葉は。


「えっと、馬を休める場所はありますか?」


 ざわりと空気が唸るほどの動揺を与えた。


 「え?」


 思わず……というよりも悪意なく呟いた言葉故、なぜこのような反応をするのか理解できない。

 隣でクスクス笑うのはベガ。

 何故か若いハーフエルフは冷や汗を流す。

 まるで、重大な秘密を知られたように震える。

 だが、シュワルツは他の者と違い少しの冷静さを見せる。


「……なるほど、貴方ではなく彼女を見ておくべきでした」

「かかか。気付いたところでもう遅いぞ」


 シュワルツは小さく後悔する。

 てんやわんやするメルはベガに何が起きたのか説明してほしいが会議中である今は動けない。

 焦るのはメル。


「えっと! ただで滞在するわけには行かないので……! 何か! 何かお手伝いすることはできないでしょうか?例えば“地竜やワイバーンのお世話”とか!」


 ザワリと空気が変わる。

 ストライクであった。

 


メルは天然です。基本はベガが作戦を立てたり、相手の狙いを見抜いたりします。

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