傭兵が走る戦場
ちょろっと書いてみました
轟く爆撃をものともせずに走る。
走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走r,,,
オレは知っている。止まったその時。オレは死ぬんだとーー。
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『軍事国民としての誇りを持て!臆すこと勿れ!我らに正義あり』
オレがスパイとして紛れ込んでいるこの国はイカれた指導者によって世界を戦争に向かわせようとしている。悲しいことに国民は幼い頃から過激な軍事思想が教育されている。世界でにらみ合いを続ける五大国の中でも先軍思想であるこの国は最も要注意の国として我が国は指定し、オレのようなスパイを多く派遣している。
とは言え、紛れ込むことは物凄く困難であった。オレの知るだけでも12人のプロのスパイが捕まっている。内、同僚が含まれていた際には多少の驚きがあった。
スパイには協力者が必ずといっていいほどいるものだ。任務の難易度はこの協力者の有無で決まるといってもいいほどだ。ただし、任務に失敗した者はその協力者からトカゲのしっぽの如く見捨てられる覚悟を持たなくてはならない。
オレの協力者は優秀であった。この国出身である彼女は名を「セイ・シー」と名乗った。凛とした整った顔に、服の上からでも魅力的なプロポーションであることがうかがえる。オレは大半が彼女のお陰で任務がここまで滞りなく完遂していると言っても過言ではない。彼女はこの国を憂い、愛するがために協力してくれていた。彼女は「生娘でも上り詰めれば体を使わないで情報収集は可能よ」と部下の女性スパイに語っていた。その部下は体を使った情報収集が得意であったが、先日見るのもひどい陵辱の跡の残る死体として見つかった……
それを期にセイは諜報活動により力を入れた。
そんな彼女は対人において温厚な接し方をする。オレ以外においてはだが……
---数日の時が経つ---
この国は他国の忠告に耳を貸すことなく戦争への道を開いてしまった。1週間後に世界への宣戦布告。それはあまりにも愚かしい行為である。しかしこの国は他国の「経済的弾圧」により、限界が来ていた。また宣戦布告の背景にはある大国の軍事的支援がちらほらと影をみせていた。
彼女の震える唇からの情報であった。
---宣戦布告。6日前。---
国から暗号で帰国任務か達せられた。そろそろだろうな思っていただけに驚きはない。心残りがあるならば、セイについてだ。ぜひ、オレの国に逃げてほしい。
---宣戦布告。5日前。---
街に緊迫が走り始める。住人も過酷な未来を感じているのだろう。只でさえ厳しかった国の出入りはより一層厳しくなった。空の往き来は完全に閉ざされた。大国ということもあり、贅沢をしなければ自給自足でやっていけると調査の結果でしっている。
さらにいえば、自国民は幼い頃からの教育により、この日が来ることは教えられており、皆逞しいものである。
---宣戦布告。 4日前---
脱出ルートが打診され、確実に人(情報)を運べるように、より厳密な計画が練られていく。本来、スパイとして潜る際には仕事が終わった報告の次点まで腹案を多く持つものだが、今回に限って多くのイレギュラーが起きすぎた。
---宣戦布告。 3日前---
シーと同じベッドでオレは起きる。といっても、そんな色っぽい話ではない。昨日の夕方に、脇腹から流れ出る血を抑え拠点、命からがらに拠点へ帰ってきた彼女を看病しただけだ。
彼女が帰ってきたのは喜ばしいことだが、時間は一刻一刻と迫っている。
そのうえに、彼女が追跡されている可能性もある。拠点から離れなくてはならない。
---宣戦布告。2日前---
拠点から離れ、シーを背負い山をオレは歩いている。
道という道に検問しかれ、山道とはいえ安全とは言えない。彼女はオレに自分を置いて行くように言ってきたが、オレは拒否。
体力には自信がある。計画がお前が必要だ、と説得。
少々不満げであったが、しぶしぶ了承してくれた。
彼女の鼓動が背中越しに伝わる。彼女の吐息が耳にかかり、くすぐったい。
ザック、ザックと歩く。一定のリズムで乱れなく歩くのが長距離歩くコツだ。
わき水のある途中で休憩。目指しているところは隣国境界近くに事前に建てておいた小屋だ。
あそこには保存食があるし、飲み水もある。偽装もしっかりとし、身を隠すなら最適化してある。
ラジオでなんとか電波を受けとり、専用の機器で本国と連絡を取り合う。ただ、この国の軍部にとらえられないように気をつけなくてはならない。
まぁ、特殊な電波を使ってるので大丈夫だろう。
---宣戦布告。 前日---
国からの連絡は3時間おきに来る。シーの怪我も概ねふさがり、激しい運動はできないものの、生活する分には支障がない。彼女は表面元気に振舞っているが、その内面精神的に参ってるだろう。ときより寂しげな表情がうかがえる。
明日には宣戦布告され大国でいえば、3対1の戦争が始まる。永年中立国である我が国は関与しないことになっている。これに、小国も多く巻き込まれて戦争となる。潜伏しているこの国の勝率はお世辞にでもいいとは言えない状況である。
一人じゃなくて良かった。彼女を連れ立ってここまで来たのは正解だったなぁ。と、思いながら作業を行う。いくら隠れ蓑として最高の立地であっても、万が一というものがある。彼女にはオレが作業を行う際に警戒の役割をお願いしている。
概ねの脱出に使われる小道具は準備できた。あとは、宣戦布告の際に一瞬緩む警戒の目を潜り抜け、我が国に帰るのみとなった。
~~この物語の終着点~~
その後は戦争は起きた。オレらはどうなったか?無事に脱出できたさ。それもアッサリとね。悪い悪い、別にオレの物語を語るのが面倒になってこうなったわけじゃない。
冒頭にはつながってないが、とりあえず報告させてくれ。帰国後、拠り所のない彼女はオレの嫁になった。おめでとう?ありがとう。
会社をたてたら、ぐんぐん大きくなったよ。子会社がもう、ね。嫁との子供も4人もうけたし。幸せって感じかな。嫉妬深いが完璧でいい嫁だ、尽くしてくれるよ。
冒頭に戻って終わる物語ってよくあるけど、オレは違う。あの部分は、オレの会社で発明されたリアルゲームのCMだよ。紛らわしくってごめん。
短編小説?いや、違うよ。これは死ぬ前のオレの記憶。オレが新たな世界に移転する前の物語。ほら、今オレは幸せな眠りに就こうとしているところさ。
「おやすみ」、みんな。別の世界で「おはよう」を交わそう。
連載の物語にほんのりとつながります。




