サブの役割
かおりはすぐに起き上がり辺りを見る。
「いったーー」
魔王と戦っていた場所への道は瓦礫に埋もれていた。
微かにその先が見える。
かおりはあまりの不安に言葉を上げる。
「槇……、槇……!!」
かおりは瓦礫に近寄った。
今隣にいない彼を見つけるために。
「なんだよ? ……っ!」
「康貴!! 今ここ開けるから!」
地震はより一層酷くなっていた。立っているのさえ難しいものだった。
かおりは瓦礫を退かす。その奥にいる康貴を救うために。
「なに言ってんだよ。速く行かねぇと崩れちゃうよ」
その先にいるのか声が聞こえる。しかし、遠く背を向けられているようだ。
「ふざけんな! 今行くから待ってろ!」
「速くいけっつうの!!」
康貴が怒鳴る。
「槇……。お前ならこの状況わかってんだろ。はやく行かねぇとみんなペチャンコだよ」
「だからってお前だけ置いてく訳にはいかねぇよ!」
「いいから行けよ。こんなときぐらいカッコつけさせてくれよ。いつも、いつも助けて貰ってばっかだったんだからよ」
かおりは泣きはじめていた。助けられないことぐらいわかっているから。
「所詮サブキャラが活きてくる場面ってこんな感じのしかないんだからよ」
「ふざけるなよ! サブなんかじゃねぇだろ!」
「サブだよ! ファンタジーでもバトルでも恋愛でも!」
「なに言ってんだよ……」
「知ってるよ。中学からだ」
「お前……」
「お前ら付き合ってんだろ。知ってたよ」
瓦礫の奥で爆発のような音がした。
「オレを気遣ってくれてたのもわかってる。だから、尚更許せなかったんだ。お前がかおりを泣かすのを」
かおりは手を動かすのを止め、涙を拭った。
「死んだらもとの世界に戻れるんだったよな」
「ふざけるなって」
「先に戻るだけだから、2人は正規ルートで戻ってきて。その時にかおり、あの返事頂戴ね」
かおりは声をあげながら泣く。それがなんの感情からなのかわからないぐらい混乱していた。
「ほら、槇。ちゃんと連れて逃げろよ」
「……あぁ」
槇はかおりの手を取った。
「絶対まっていやがれよ! 待ってなかったらぶっ殺すからな!」
「あぁ、まっててやるよ」
槇は走り出した。泣きじゃくるかおりを引いて。その槇も涙を浮かべた。
「さぁ、始めようぜ魔王」
「それで終わりか?」
「あぁ、終わりだ」
電撃の斧。それは双方の牙。
お互いは全身を震わせる、青白く光り輝く。
「これが! 本気だ!!」
雷を放出する。辺りに飛び散る覇気の様な電流は康貴を輝かせる。
その電流は自身の主の意向とは別に康貴のもとへ戻っていく。
そして大きな爆発音と共に眩い光が康貴を覆った。
「なにっ!!」
雷光がおさまれば、そこには雷電を纏う獣のような姿の斧が康貴に懐くようにその手の中にあった。
「これが……」
最後の神器がその手にあった。




