『魔王』激戦
それは屈託ない、圧倒的強者。
漆黒の闇を纏い、地さえも割ろうと言わんばかりの巨大な斧。
その前に3人は威勢だけで武器を構えていた。
『魔王』、ゴウジェは斧を振り上げる。
闇がその姿を隠し、巨大な斧だけが輝きを放った。
まるでそれだけが浮いているように錯覚させるようだ。
「いくぞ、ガキドモ」
響く声。
それに反応することも出来ず、3人は黒い影に吹き飛ばされていた。
3人は倒れないよう各々受け身をとる。
「くそっ! チートだろ」
槇は剣を一振りすると炎の渦が闇に向かう。
それは闇を貫通したが、槇の目の前に輝く斧が現れ振り下ろされる。
槇は地面に叩きつけられ、その衝撃の強さから跳ね上がる。
その槇を容赦なく切り上げ、宙に上がった槇を闇が巻き付くように覆い、姿が見えた黒い小手が頭を掴みそのまま地面に投げつける。
一瞬だった。
2人は助けることさえ出来なかった。
「さぁ、まず1人だ」
槇は地面に倒れたまま動かない。
「しん……」
絶望に落ちかおりの横を康貴が通り、魔王の斧をとらえた。
「やっぱオレじゃなきゃだめか」
「図に乗るなよ小僧」
康貴は一度下がり左手に雷を帯びさせ、再び魔王に突っ込む。
「康貴ダメ!」
かおりの制止に聞く耳をもたなかった。
康貴は斧を振り上げ闇を食らいつく。
がしかし、康貴は黒い闇を突き抜け槇のもとに近寄る。
バチン!!
巨大な音。それと共に康貴は振り返りながら斧を振る。
ガチン!!
金属と金属とが激しくぶつかり合う音。
「……やるな小僧」
「当たり前だ。……本気だよ!」
康貴の体が青く光り、電磁波のような波動が黒い闇を取っ払った。
その姿が見えた瞬間、槇は魔王の背後に回り剣で突く。
魔王は康貴を突き飛ばし、振り上げと共に槇の剣を弾き振り下ろし康貴を殴り飛ばす。
さらに空いている手を後ろに持っていき雷撃を起こし槇を飛ばす。
「やべぇつえー」
かおりのところで止まった槇は嘆くように呟いた。
「やっぱ、逃げるしかないだろ」
「うん。取り合えず3人集まらないと」
ここで、あることに気づいた。
「あれ? あのキツネは?」
「へ?」
かおりは辺りを見回したが見当たらなかった。
また逃げたのだ。
この迷宮で道案内がいない。
さらにもうそろそろこの迷宮が崩れる。
目の前には強敵。
最悪の最悪であった。
康貴はすぐさま魔王に飛びかかり攻撃を続ける。
かおりはようやくどうやってこの遺跡から出るかを考え始めたがそこまで有余はなかった。
槇は康貴に加勢し2人で魔王に攻撃する。
その時に巨大な岩が落ちてくる。お互いその場から離れる。
「なんか思い付いた?」
「……いや。でも取り合えずここから逃げなきゃ」
かおりは顔を上げた。
「魔王の奥にあるあれが私たちが入ってきたところ。あそこから……」
「はやくしないと、あれ落ちるよね」
「あぁ……」
男子陣が見上げる先には今にも崩れ落ちそうな壁であった。
「急ぐぞ!」
3人は一斉に走りだす。
「そうはさせん!!」
魔王の覇気たる波動に足止めさせられる。
「いかせろよ!!」
それを槇の覇気たる波動が相殺する。
「黙ってろ!」
康貴が魔王に触れると一瞬動きが止まった。
その隙に3人は魔王を抜き、入口まで向かう。
だがしかし、壁は崩れてくる。
普通に走っただけでは間に合わない距離であった。
死に物狂いで走る。
潰されるならいっそ3人で。
通れるなら3人で。
通れないなら3人で。
━━━━かおりはそう思った。
あと少し。
壁はもう入口にかかっていた。
間に合わない。
3人はそう感じた。
「ごめん……」
不吉な言葉。
それの主を確認しようとした瞬間、背中に強烈な痛みが走ったかと思うと、ものすごい速さで地面を転がり、落ちてきた壁スレスレで通った。




