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オレたちが来た世界は、未来の終わりを知っている。  作者: kazuha
〜第9章〜〈ジンドゥム〉
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祭りの終わり



「てめーら、よく頑張った」



 祭りも終わり当たりの人は散り散りになっていた。治療を2人とかおりはその様子を見て溜め息を吐いた。楽しかった時間も終わりなのだと。そして、ここからが本番なのだと。

 そんな3人のもとにダグラスが来た。



「なかなかの成績だ。2人ともよく頑張った」



 ダグラスが胸を張ってそう言った。

 その言葉で槇は少し残念そうな顔を見せた。



「槇は惜しかったな。今回は相手が悪かった」

「そんな慰めいらねぇよ」

「こら槇!」



 ダグラスは苦笑いを浮かべた。



「まぁともかくだ、試合の疲れもあるだろうから1週間くらい休め」

「ちょっ……! ダグラスさん!! 宝珠とりに行きたいんですよ! 今日しか山に入れる日はないんじゃないんですか?」



 かおりの質問に顔を歪めながら答える。



「それがよ……。ここらの主のジャダンジェの産卵時期に被ったらしい。この暑さなら間違いない」

「ジャダンジェ?」

「んなの、ぶっ潰してやるぜ!」



 槇は疑問符を頭に浮かべ、康貴が威勢よく叫ぶ。



「それができればいいんだが、流石にオレがついても全員が無事でいられる保証はない」



 かおりはその名前を聞いて思い出した。あの日の記憶を。



「ジャダンジェって……、私がかかってた毒の持ち主ですか?」

「毒って……あのか!?」



 ダグラスは悩むように目を閉じ静かに頷く。



「……そうだ」



 かおりはわかっていた。あの毒の恐ろしさを。そこから感じる強さを。



「まぁ、単に延期になるだけで、来年まで待てとは言わん。取り合えず、ジャダンジェの卵が孵るまでの辛抱だ」



 少しやる気になっていた3人は肩の力が抜けた。



「その代わり、訓練は付き合ってやる」

「「えーー!」」


 男子陣は不満の言葉をたらたら溢す。



━━━━そんなときだった━━━━



「ダグラスさん!! ディグロが! ディグロが!」



 叫びながら寄ってきたのは血相を変えたパージャだった。



「どうした。落ち着つけ!」



 パージャの焦り様から、嫌なものが見え隠れしていた。


 

「ディグロが……、ディグロが1人で山に入って行ったんです!」

「なんだと!?」



 響く声に周りの村人がただ事ではないことを察したようだった。



「バカ息子が! ジャダンジェが来てることぐらいわかってるだろうが!」



 どうしようか悩んでいるダグラスを尻目に康貴は走り出した。



「康貴! どこ行くの!?」

「決まってんじゃん! 連れ戻さなきゃよぉ!」

「それはオレも同意だ」



 槇は康貴の後を追いかける。



「友だちを失いたくない」



 かおりは苦い顔をするが、やむを得なかった。



「オレも着いていく。バカ息子の躾は親の仕事だ」

「じゃぁ、私も!」



 パージャがついてこようとした。しかし、それをダグラスが許さなかった。



「ダメだ! パージャはディグロが生きて帰ってこれるよう祈ってろ」

「でも、私!」

「信じろ。絶対に連れ戻してやる」



 ダグラスを先頭に4人は山目指して走る。それを静かに見守るパージャは両手を強く握り合わせ、祈った。

 ディグロの無事を。

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