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オレたちが来た世界は、未来の終わりを知っている。  作者: kazuha
〜第7章〜〈強さと弱さと〉
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腕試し



 3人はお昼休憩に入る。


 あちらこちらにやけどがある槇。

 全身筋肉痛でおにぎりも掴めない康貴。

 魔力の枯渇で大量に食べ物を食べるかおり。



 各々ボロボロであった。

 各々強くなっていた。



 一緒に食事を撮りながらそう感じている長老は不自然なタイミングで笑う。



「急になんだよ。気持ち悪い」

「いやなぁ、めまぐるしく成長しとると思ってなぁ」

「やめてよそれ。死亡フラグみたいだから」

「死亡フラグ……とな?」

「死亡フラグっていうのは、戦いの後に素晴らしいことをする予定をたてると、死んでできないってやつ」

「ふむ。なんとなく理解した」



 目の前の食事に精一杯でまともに聞いていなかったかおりが近くに置いておいた銃を取り、入口に銃口を向ける。



「ふぇふぃ」

「え? なんて?」



 康貴も雰囲気で斧を持ち、入口を見る。



「なんつった?」



 槇は立ち上がり状況を確認する。

 かおりは急いで咀嚼し、飲み込むと魔力を纏う。



「敵!」



 入口から飛んでくる巨大な鉄球。

 直ぐに反応した康貴は易々と弾き返す。



「あ、バレた」

「なにやってんだよ!!」

「ちっ、使えない奴らね」



 1番後方にいた女性は先端が青く光る大きな宝石をつけている杖を軽やかに回す。

 すると大量の水を洞穴の中に入れる。


 それに直ぐに反応したのはかおりであった。

 無造作に銃のトリガーを引く。

 弾は水流に飲み込まれる。



「その程度じゃ止まらない」

「止まるわ」



 次の瞬間、水は一気に凍り、かおりが指を鳴らすとガラスを割った音を立てて粉々に砕け散った。



「うそっ!!」

「使えない奴」

「うるさい!」

「んなことより引くぞ」

「は!?」



 砕けた氷の間から剣先が現れる。

 巨大な鎌の柄で防ぐ。



「コイツら強くなってる」

「テメェだけはぜってぇ殺す」



 槇の殺意に思わず突き放す。



「あー、怖ぇ」

「1人、ひとり相手。目標ね」

「それ、いいね」



 エデレスメゼン軍の3人は洞穴から離れる。



「どうする? 追っかける?」

「丁度いいと思わない? 特訓の成果の見せ所」

「むしろ仕組まれたみたいに来たよな。まぁ、好都合だからいいけど」



 槇の冷静さに恐怖を感じるかおりではあったが、この場は進軍が絶対的に正しかった。



「1対1が狙いらしいけど、まぁ誘われましょう」

「オレはあの鎌野郎」

「んー、じゃぁオレ鉄球」

「私が杖の女性ね」



 3人はゆっくりと洞穴から出る。

 冷静に息を吸って、静かに吐く。

 今までの疲れを忘れ、強敵に挑もうと魔力を高める。


 外に出る。

 少し離れた場所で待ち構えていた3人は溢れる魔力を見せつける。

 前は、それだけで怯んでいた自分たちのことを思うと何故か笑えた。



「怖くねぇな。もう」

「そうね。行ける気がする」



 3人は武器を構える。



「よっしゃぁ!!!」



 康貴の咆哮は相手の魔力をかき消した。



「マジかよ」

「くっ!」


「行くぜ!」



 先制を取ったのは槇。

 キエリアの懐に入り込み柄頭で腹部を殴る。

 その勢いて残りの2人と離す。



「なにしやがる」



 単身突撃してきた槇にトゥワイスが鉄球を振り下ろす。


 ことができなかった。



「てめぇの相手はこのオレだ!」



 康貴が鉄球を押さえつけていた。

 その間に槇はキエリアを追っていく。



「くそっ!」



 力任せに潰そうと力を込めるが康貴はびくともしなかった。



「そんなんじゃ、潰せないよ」



 鉄球を投げ飛ばすと一緒にトゥワイスも飛ぶ。

 それを追いかけて康貴は走り出そうと足に力を入れた。



「アクアバインド」



 身長をゆうに越す間欠泉が康貴の周りに吹き出す。



「熱っ!」



 堪らず斧を振り回すが水は止まらない。



「脳筋。私が相手だ」

「いや、あんたは私」



 風が吹いた。

 ただそれだけなのに間欠泉は弱まり、膝下まで下がる。



「なに? 不満かしら?」

「この生意気なガキが……私に侮辱とは覚悟はおありで?」

「なかったら目の前に出ないわよ。おばさん」



 女性の額に濃くシワができる。

 かおりの挑発が滑稽にも炸裂したのだ。



「このガキには躾が必要ね。トゥワイス、そのビリビリ野郎は任せたわ」

「指図するな」



 トゥワイスはかおりに向け鉄球を投げつける。

 高速横回転がかかり、それだけの摩擦で鉄球から火が上がる。



「少しくらい言う事を聞け」



 女性は杖を一回転させると宙に浮く。

 かおりは鉄球に目をやるがうろたえずに銃を女性に向けた。


 鉄球は康貴により軌道を変えて女性に向かう。



「くっ!!」



 トゥワイスは直ぐに止めようと鎖を引くがすでに遅かった。

 女性は杖を鉄球に向ける。

 杖の水晶は紅に色を変える。


 鉄球は爆発する。

 黒煙が立ち上ると鉄球が地面に落ちる。



「なにやっている!」


「おばさん。よそ見しないの」



 水のムチが女性を襲う。

 避けることもできず奥の岩場まで飛んでいく。



「それじゃぁ康貴、鉄球女よろしく」

「任せとけ!」



 2人拳を重ねて直ぐに別れる。

 康貴の横を鉄球が高速で通る。



「なめてる。許さない」



 鉄球を振り回すトゥワイスからは殺意のオーラが滲み出ていた。

 今までとは違い、本気のようだった。



「こりゃ、楽しくなりそうだぜ」



 康貴は笑い、筋肉を震わせる。

 そして、斧に電気を蓄える。



「ぺちゃんこにしてやる!」

「やってみろよ」



 トゥワイスは鉄球を振り回しながら康貴に向かって飛ぶ。

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