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オレたちが来た世界は、未来の終わりを知っている。  作者: kazuha
〜第4章〜〈砂漠の番人〉
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『相対する雉子と鳳凰』



「久しぶりだな、メリー。元気か?」

「元気よ」



 ニカッと笑う帽子の男を冷たくあしらうメリー。

 帽子の男が大剣の刃を肩に当て、肩をならす。



「そりゃぁ何よりだ。」



 緑の髪が風で揺れる。



「あなたを殺すまでは、倒れられないわよ」



 どこからともなく、青い筋の入った槍を取り出した。

 すると辺りの気温が一気に下がる。



「今日こそ……」

「まだ止まれないんだよ。」



 男は地面を蹴る。

 一瞬でメリーの懐に入り、大剣を振り上げる。

 メリーは宙を飛び一回転し、その刃を避ける。



「トゥワイス!」

「命令するな」



 メリーの背後に立っていた、機動性にとんだ鎧の上に赤い十字架を刻んまれているフリフリのエプロンを付けた銀髪の女性が放った重り付きの鎖が男の剣にまとわりつく。



「ちぃ!」



 銀髪の女性はそのまま地面を蹴り、鎖の反対側の鉄球で殴りかかる。

 一瞬鎖が弛み、鉄球を剣で防ぐ。

 その反動で数メートル飛ばされる男。

 トゥワイスはすぐさま鎖を引っ張る。

 男はトゥワイスに無理やり近づけさせられ、再び鉄球を剣で受けた。

 刹那、トゥワイスは背中に激痛を感じ取る。



「お嬢ちゃん。あんまりオレのこと知らないだろ?」

「……っなぜ……」



 赤い柄で、赤い鍔の日本刀が天高く上げられていた。



「君じゃムリだよ。オレに勝てるのはティエルだけだ。」



 その呟きと共に飛び散った血が炎を上げる。



「じゃぁな。人間。」



 その剣が振り下ろされた瞬間、ローラーブレードをつけたメリーが男に接近し、槍で剣を防いだ。



「一応、私の部下なの」

「相変わらず意味わからねぇよな。その仲間意識。」



 メリーは男を蹴る。

 男は容易に避けるが二の次の刃を恐れて大きく離れた。

 それを見てメリーはトゥワイスに触れた。



「今日のところは退くわ。あなたの魔力は覚えたもの。もう逃げ場はないわよ」

「オレは逃げねぇ。」

「相変わらずね。そのしゃべり方やめなさい。かぎかっこの前に丸はいらないわ」

「必要だよ。」



 メリーはトゥワイスを氷に包む。



「いらないわ。結局なんにもならなかったじゃない」

「黙れ。」



 男は剣に炎を纏わせ、刃をその場で振る。

 すると無数の火炎弾がメリー目掛けて飛んでいく。

 その気配に目をやるメリーだが、直ぐにうごけず火炎弾が数発被弾する。

 火炎弾は爆発し黒煙が上がる。

 その瞬間に黒煙の間から突き出てきた槍が男の眉間を貫く。


 しかし、男はゆらゆらとゆれ、白煙と共に消えていった。

 後方からの殺意にメリーはすぐに後方を蹴る。



「やるな」



 男は腕で蹴りを止めた。



「当たり前」



 男は直ぐに刀を振り回す。

 全て受け止め一瞬の隙に下段蹴りをする。

 男は飛び上がり顔面を蹴る。

 それを腕で受け止めると同時に地面から氷の槍を出す。

 男は瞬間移動の如く素早くメリーの背後に回り剣で切り上げる。



「終わりだ。」



 血しぶきが上がったかと思うとメリーが炎に飲まれる。



「所詮はその程度だ。オレは、求める。いつまでもな。」

「いい加減目を覚ませ!」



 男の頬を殴る。



「いい加減に……っ」



 その瞬間、メリーも氷に包まれ、それが砕け散った瞬間2人の姿はなかった。

 それを確認し、男は溜め息をつく。


 最後に見せた涙の意味もわからぬまま、痛みを感じる頬に手を当てた。


 日本刀は役目を終たと同時に自分の意思で燃えて消えた。



「丸なきゃ、終われないだろ。」



 男は静かに呟いた。


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