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オレたちが来た世界は、未来の終わりを知っている。  作者: kazuha
〜第11章〜〈はじまりは勇者の導き〉
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最悪の国王



 リオイオが苦痛と失敗に大きく唸る。

 その巨大な波動に5色の光は容易く消される。



「えっ!?」

「心配するのは自分だけにしなよ、かおりちゃん」



 金色の女性、ティエルが手を前に出す。

 見えない壁で波動を受け止める。それと同時に3人の横の地面が消し飛んでいった。



「腐ってもラスボスだよ。気を抜いたら一撃さ。まるでホラーゲームみたいにね」



 闇を裂く様な光り輝く笑顔を3人に見せるとどこからとも無く剣を取り出し、天に掲げた。



「闇と光、相対するものってのは誰でも知ってるけど、それが合わさったらどうなるかなんて誰も知らないんだよ」



 ティエルは剣を振り下ろす。

 すると強烈なエネルギー波がリオイオへ飛んでいく。



「でも、かおりちゃん、君は知ってる」



 エネルギー波はリオイオの腕をいとも簡単に切り落とした。



「いつまでそんな所で休んでるのさ! 出番はあるって言ってるだろ」

「いや、んな事言ったって、余裕じゃんか」

「槇くん、それは現在のことで未来の事じゃない。ボクは未来の出来事を言ってるんだ」

「未来……、それじゃまるで……」

「そうだね。まるで未来予知、または未来から来た、とでも思ってるんだろ? そうじゃないんだ。ボクが出来るのは、リオイオを倒すことだけだから」



 ティエルは指を鳴らす。それにより無数の光の槍がティエルの回りに現れ、またリオイオ目掛けて飛んでいく。



「ボクはアイツには勝てないんだ。だから、こんなことになったんだけどね」



 槍はリオイオを蜂の巣にしていく。

 それに黙ってるはずもなくリオイオは反撃に残りの片腕を振り下ろす。

 それさえ無意味な妄想であったと気づかずに。

 もうひとつの腕が切り落とされた。



「強すぎ……」

「康貴くん、違うよ。相性が悪いんだよ。あるだろ? 男女の相性にも様々さ。それと一緒」



 最後にと大きく口を開けて力を蓄えていく。

 それはただの隙でしかないのにもかかわらず。



「ボクはただデカイだけの奴には強いんだ」



 最後の一撃は首を飛ばした。それにより放たれたレーザービームは空を覆っていた雲を割いて、光り輝く夜空を解放した。



「さて、これからが、君たちの番だ。そう、ボク達が、メリーが、ゴウジェが勝てなかった、ジークが相打ちになったやつだよ」


「えっ、そんなの……」

「勝てるわけないじゃんか」

「むりだろ!」


「できるんだ。君たちなら。3人の力を合わせられる、3人なら」



 3人は構えた。その最強の相手と戦うために。


 最後の力を絞り、最強の武器を自分と同化させる。



 リオイオの姿がどんどん小さくなっていく。浄化のようにきれいに、美しく消えていく。なにも助言がなければ、それで勝利と確信しただろう。


 空は快晴、空気は澄み渡り、大地は悠然と佇む。


 平和な世界を取り戻した。



「それがヤツの求める世界さ」



 光り輝く剣は混沌と歪む剣と相対した。

 それがラスボスの最終形態だと思うとあまりに異常だった。



「これはこれは、地獄から会いに来たよ。最悪の異端者」

「これはこれは、天国から阻止しに来たよ。最悪の国王」


「ティエル!!!」

「カンナ!!!」



 急に現れた細身の男は、薄気味悪く笑う。



「さぁ、創めようじゃないか。何不自由ない最強の種族のための世界の創生を!!」

「今度こそ消し飛ばしてやるよ。その腐った考えとともに!」



 闇と光、決して交わることのない2つが、ここで対峙する。



「そんなことないんだよ。光は闇に屈するしかないんだ。私の前には、お前なんか無力さ!!」



 闇はティエルを飲み込んだ。

 あまりにも一瞬で何が起こったのかわからなかった。



「さぁ、デザートはあなた達ねぇ」



「いくぞ」

「うん」

「おう」



 かおりが謳った。最後の歌を。

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