決死
ペガサスと共に3人は浮き上がると、その先にはキメラとかめ吉がいた。
「力貸してくれるのか」
「何言っとるんじゃい。世界が終わるよりはマシじゃい」
愼はかめ吉にまたがり、かおりはキメラにまたがる。
「ありがとな」
「お前さんに感謝されると虫唾が走るんじゃい」
「うるせぇ」
先行したのは愼。宙に浮く岩たちを華麗に避けながら、触手に近づいていく。
「康貴。あのね」
「ん?」
かおりはキメラの背に立ち、あふれる魔力を七色の翼に変えた。
「あの時みたいに後悔しないから。出し惜しみしないから」
「出し惜しみしてたの!? まぁ、本気ならそれでいいや」
次に進もうとしたのは康貴。かかとでペガサスをければ、大きく高鳴りを上げる。
「でもね。死ぬのは許さないから」
「……笑えないジョーク」
「いくね」
電光石火で触手に向かっていく。
そして、かおりは目をつむった。
「もし、あの3人が手を組んだらなんて思ってたけど、私にもあの力があるのよね」
両手を広げ、大きく息を吸った。
混沌を止めるような謌を奏でるために。
「おいおい」
「なにこれ」
「もう、逃げない」
かおりは飛んでキメラに座る。それに反応してキメラは触手に向かっていく。
時空が割れる。
それはかおりにとって大きな誤算だった。
「う、そ……!」
かおりのすぐそこで大きく口を開けるそれは、誰も知ることなく静かにかおりを飲み込もうとした。
嫌だと思うよりも、もっともっと先に、この世の崩壊は訪れた。
『それを止めるのが仕事だろ。何ずっと眠ってるんだ? ボクだって起きたんだ。まだ眠りが浅い君たちなら、救えるだろ?』




