恐怖
かおりはまっすぐ進む。混沌の化身をなぎ払い、まっすぐ、リオイオの場所へ。
その巨大な悪魔を目の前にして、攻略の策は一向に浮かばず常に苦虫を噛んだような顔をしていた。
「普通に戦って倒せると思う?」
自問自答。その答えを導いてくれるのはやはり自分でしかなかった。
「とりあえず……」
かおりは立ち止まりリオイオを観察する。
富士山もびっくりなほど巨大な身体は、『魔王』の様に闇に覆われ、その実態を図ることはできない。
その中でも異質を放っているのは背中から出ている3本の触手。触手の先に向かって岩やら木やら、空や海が向かっていっている。まるで吸い込まれているかのように。
「弱点? それとも被害縮小? どっちにしろ破壊する必要がありそうね」
かおりは神器氷槍を両手で持ち目をつむる。魔力を1つにまとめ、巨大な力を紡いでいく。
その気配に気づいたのか、リオイオはかおりのことを目視した。すぐさま巨大な手を振りかざす。
かおりは直感的に目を開ける。ためた魔力を一度飲み込み、回避行動をとる。
巨大なそれは、混沌の化身をなぎ払いながら、かおりめがけて飛んでくる。
「デカすぎよ!!」
避けられないと判断すると槍を振りかざして分厚く硬い壁を幾層にも重ねた。
「これでどうよ!」
その1つが脆くも砕かれるとすぐに走り出した。
なんの障壁にもならない。勢い変わらずかおりをそろそろ捉えようとする。
「まだ、まだ……」
泣きながら走る。何もできないまま、逃げるだけ。