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オレたちが来た世界は、未来の終わりを知っている。  作者: kazuha
〜第11章〜〈はじまりは勇者の導き〉
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讃夜



 世界最後の決闘は、誰が見ても、熱戦だった。


 闇の切れ際にぶち当たる金属。

 光を遮る巨大な破裂音。


 勇者、ジーグは距離を取り、燭台を背に微動だにしない、魔王、ゴウジェを賞賛する。



「相変わらずの耐久力だ。」



 闇を払ったゴウジェはその身の雷槌をジーグに向ける。



「今日こそ貴様の首を頂く」

「やれるならやってみーよ」



 電流が対象もなく弾けると、再び混沌の闇が行く先を消した。その光景を嬉しく思うのかジーグはにやりと笑った。



「昔みたいに、楽しくやろうぜ!!」



 ジーグは剣を横に振る。斬撃波が闇を切り裂きゴウジェの首を裂く。

 傷一つつかない鎧の奥からギョロリと動く紫の瞳。



「やば。」



 ジーグは真上に大きく飛ぶ。

 その刹那に真下にビームの如き雷撃が通る。

 炎の羽を羽ばたかせ、いた場所を確認する。



「おいおい。マグマになってるじゃんか。」



 愚痴をこぼしてすぐに広がる闇に突っ込んでいく。

 炎の翼が切り裂いていく闇は雷鳴を轟かせながら消えていく。


 ジーグは剣を大きく振る。

 それは大きな斧にぶち当たると、時空を歪ませるほどの衝撃が当たりの一切を消し飛ばした。



「強いな。」

「いつまでも、弱虫のままではない!」



 競り勝ったのはゴウジェ。振り切った斧は地面を割り、ジーグを飛ばす。

 それで終わらせなかった。

 斧がみるみるうちに獣の姿へと変わり、電光石火で直進する。それがジーグに当たったことなど見なくてもわかった。



「これで終わりだ」



 帰ってきた獣は持ち主に甘えると、再び元の姿に戻っていった。

 艶やかな風を感じると深呼吸をする。ようやく、決着がついた。そう思うために。



「ティエル。教えてくれ。これで終わったのか?」



 巨大な斧を天に仰ぎ、それを光らせる。それが、何を意味したのかわかる間もなく、この世の異変が起こった。



「っ!!!」


「オレが教えてやる! 終わるんだよ! オレの手でな!!」



 背後の気配に気づいたときには既に遅かった。

 緋い石はその燭台にはめ込まれ赤色に輝く。その光は他の燭台の元へと向かい五角の形を取る。



「オレの勝ちだ!!」



 地の鐘が地割れを起こし、天の鐘は空を割る。



「クソがっ!!」



 すぐに立ち向かおうとするがそれどころではなくなった。五角の中央部分に時空の割れ目が発生し、そこから闇の化身が飛び出てくる。



「邪魔だ!」



 護身を優先せざるを得ず、化身を薙ぎ払っていく。



「ざまないな。そこでおとなしく見ていろ。」



 高らかに笑いながらそのものの名前を呼ぶ。悪魔にして、この世の全ての害悪。



「いでよ!! リオイオ!!」



 混沌が集結していく。天凱の中央はその闇を吸い込み、1つになっていく。



 讃夜。



 聖なる闇の音に笑うものはただ1人。





『これでおしまい。やっぱり、ボクの出番はなさそうだ』














『そう思ってたんだけどな』

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