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第43話

 エニスとリース、リオンの3人をその場に置いて、オズとリューイ、フレイは自軍の本陣の近くに転移してきていた。


「今更だけど、3人を置いてきちゃってよかったの?」


 オズが心配そうにフレイに聞いたところあっけらかんと答えた。


「うん? あぁ~、忘れていたわ」


「……迎えに行くのも面倒くさいし。まぁ、いっか。そのうち来るだろうし」


 オズもフレイと同じように気にしないようにすることを決めた。


「エドにはどこまで話そうか?」


「適当に話して女王に詳しく話せばいい」


「そうすべきかね」


 オズが疲れたような声を出しながら今後の展開をフレイに聞きながら、エドワードがいる本陣へと向かって歩いて行った。


 エドワードがいる本陣が近くなるとザワザワと落ち着かない雰囲気になっていた。そしてその雰囲気の中心にいたのはエドワードだった。


 エドワードは周りにいる武官たちと意見を交わしたり、指示を出していたが、オズたちを見つけるとすぐさま駆け寄ってきた。


「一体何があったんだ? それとリューイはどうしたんだ?」


 エドワードはとても慌てているのか、周りの静止を振り切ってフレイ達に声を掛けた。フレイ達の姿を見たエドワードは、オズに抱きかかえられているリューイがぐったりしているように見えたため思わず声が出てしまったようだった。


 その間オズとフレイは今この場をどうするかアイコンタクトで会話した結果、詳細をぼかしながら説明をすることを決めた。


オズとフレイの様子からエドワードは、このままではフレイとオズが適当に話すと感じ人払いを命じた。

 しかし、エドワードが人払いを命じたところ、やはりというか遠回しな文句を言う者もいた。

 その結果エドワードは自身に近しい者や母から連れて行けと言われた者以外の退出を強く命じた。


 素直に出ていくものやオズやフレイを憎々し気に睨みながら出ていくものもいたが、オズとフレイは特に何もすることなくその場にいた。


 そして、エドワードに指名されたもの以外が出ていった事を確認し、フレイが一言断ってから遮音の効果がある結界を張り、経緯を説明し始めた。


 フレイが経緯を説明し終えた頃には、ちょうど戻ってきていたエニスとリース、リオンの3人も呼ばれ、フレイの説明に間違いがないかなど聞かれていた。


 エニス達3人はフレイの説明以上に詳しくは知らなかったこともあり、さっさと自由時間になった。

フレイの説明を聞いて確認し終えたエドワードは、一足早く中継砦にある転移陣を使いすぐさま王都に戻ることを決めた。


 エドワードからの指示を受けた副官たちも休憩を取った後中継砦に戻ることを決め順次戻っていった。

そんな中フレイとオズ、リューイは、まだ中継砦に戻っておらず戦場となった場所におり、【マガツカミ】が現れた地点を検分していた。


「確かここらに魔法陣があったはずなんだけど……」


 オズは、魔力を使い周囲を探っていた。しかし【マガツカミ】を呼び出したとされる魔法陣の痕跡は一切残っていなかった。


「こっちは何もなかったけど、フレイのほうはどうだった?」


「こちらも何もなかった」


 不自然なほど痕跡が残ってなかった為に、探索を打ち切ったフレイとオズはリューイを構いながら休憩していた。


「こうまで何もないと怪しいと思うんだよね」


「しかし、何もないんだ。調べようがない」


 オズの言うことに理解を示しながらも、フレイはお手上げとでもいうようにリューイを抱きしめ撫でまわしていた。その様子を見てオズは、ストレスが溜まっているんだなぁ、としか思っていなかった。

 撫でまわされているリューイは、嫌がっておらずむしろフレイにじゃれついているように見えた。






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