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第30話

 <10年戦争>オルテシア王国の当時の王族が次々に暗殺された事件が発端となる。この事件を調べていた当時の宮廷魔術師たちが、隣国であるパロット帝国の関与を発見した。


 この調査結果をもとにパロット帝国に真偽のほどを確かめようと先走った親パロット帝国派が情報をリークする。その結果パロット帝国はオルテシア王国へと侵略を開始する。学院には他国の魔力に秀でた貴族の子弟もいる。しかし王族の暗殺事件前に運よく長期休暇に入っていたので、パロット帝国の侵略に対して他国から、抗議は起こらなかった。


 始めのうちパロット帝国に侵略され、オルテシア王国は敗戦続きだった。しかし敗戦は長くは続かなかった。新たに即位した女王であるリュディアとリュディアの教育係を務めていたフレイ、宮廷魔術師たちが戦場に立ち始めると様相は大分変わってきた。


 宮廷魔術師たちが、各々が研究していた大規模魔術式を使いはじめたからだった。


 これにより侵略された国境を押し戻し、元に戻した。それからは、国境沿いでの戦闘が続き、多数の死体が野ざらしで放置されていた。そこから魔物が湧きはじめた。この時、魔物の駆除もしくは死体の処理をしていればその後の展開は変わっていたのかもしれなかった。


 パロット帝国がオルテシア王国に侵略を始めてから10年がたち、戦争は泥沼化した。


10年の月日でパロット帝国とオルテシア王国の国境付近の村や町では治安が悪化し始めた。もともと、オルテシア王国側は、治安の維持などにも力を入れていたが、今まで起きた戦争とは比べるべくもなくここ10年での戦争は確実に治安を悪化させた。また、仮説は立ったが、主要な穀物や野菜などの収穫量が激減した。


 野ざらしの死体や多くの人の負の感情が国境沿いにたまりだしたのだろう。突然野ざらしにされていた死体が急に消えたのだった。


 そこからは地獄だった。禍々しい気配を放つモノが現れた。


 禍々しい気配を放つ異形のモノは、移動を始め災厄を撒き散らし始めた。


事態を重く見た周辺国は、帝国と王国の休戦を模索しはじめた。当然その禍々しい異形のモノを討伐しようとした。しかし、禍々しい異形のモノは送られた討伐隊を壊滅に追い込んだ。


 禍々しい異形のモノは、マガツカミと名付けられ、王国が新たに派遣した宮廷魔術師の部隊が討伐に成功したのだった。




★☆★




 フレイが<10年戦争>の概要をシュライブに語った。


 シュライブとしては、<10年戦争>とオズの関係を未だ理解できずにいた。


「マガツカミと名付けられた災厄をばらまいた異形のモノを、王国が派遣した宮廷魔術師が葬ったのは知っているがそれとどう関係があるんだ?」


「葬ったのがオズとリューイで、立ち会ったのが私だ」


 ガタっと座っていた椅子を鳴らし、信じられないものを見るようにオズとリューイをシュライブが見ていた。


「・・・信じられん。一応俺も前線にいたからアレの異常性は理解しているつもりだが・・・」


 オズはまじまじと見られていたが、特に気にした様子もなくお茶を啜っていた。その様子をフレイは苦笑いをしてみていた。


「信じられないと思うが事実だ」


「・・・その功績か?」


「そうだな。色々とオズはやらかしているから、それも含めて、だな」


 シュライブのオズを見る表情が胡散臭い人物を見るモノから信じられないモノを見るような表情となっていた。








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