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第29話

 静かになった会議室でオズは困ったように頬を掻く。


「うーん。何から話したものか……」


 膝の上で寝ているリューイの頭を優しく撫でながらシュライブに聞くように呟いた。シュライブはその呟きに眉をひそめた。


「俺が質問する。それに答える。それでいいか?」


「ありがとうございます」


 オズはその言葉が聞きたかったとでもいうように笑顔を見せる。フレイもにこやかな表情をしており、シュライブははやまったかと手でもいうように苦い表情をした。したがここまでくれば毒を食らわば、というやつだと覚悟を決めた。


「言い忘れたが他言無用だぞ」


 フレイが爆弾を落とす。シュライブの覚悟を更に試すようなタイミングだった。


「……了解した。誰にも言わないと誓おう。それと改めて自己紹介をしよう。元オルテシア王国宮廷魔術師で、リュディア女王直属特務部隊<騎士の宴>第二班所属のシュライブ・ディンクスだ」


 シュライブとしてももう後には引けなかった。そのため秘される部分を含めた自己紹介を行った。その際リュディア女王直属の証ありオルテシア王国の紋章でもある鷲獅子が模られた魔道具でもあるペンダントを見せる。


 このペンダントは女王であるリュディアが、自身の直属部隊に任命する際に下賜する物品の一つである。下賜された物品は全て、基本的に誓約と探知、呼掛けの三つの魔法がかかっている。誓約は、女王に危害を与えないという一点のみで、下賜された物品を身につけている間は決して破れない。この下賜された物品を余程の理由以外で外すことは、粛清対象になるほど重い。しかしリュディアは、ただ外しただけで粛清するのは忍びないといい、確認の為に探知と呼掛けという二つの魔法を付けた。この二つは、誓約と違い魔道具自身が能動的に動かないように設定されている。余談だが、これらの魔道具に魔法を組み込んだのは主にフレイであった。



閑話休題



「では改めて。オルテシア王国宮廷魔術師リュディア女王直属特務部隊<騎士の宴>所属のオズです」


 オズは自己紹介をしながら、鷲獅子が模られた魔銀で作られた懐中時計を見せる。当然魔銀の懐中時計もペンダントと同じ魔道具である。


 シュライブはオズの自己紹介を聞いて所属班を言わなかったことに眉を潜めたが、魔銀で作られた懐中時計を改めて見て頭を振り、フレイを見る。


 シュライブの訝し気な表情にフレイは笑いながらオズと同じ思われる魔銀で作られた懐中時計を見せていた。


 それを見たシュライブは大きく息を吐いた。オズの所属班については聞かない方が良いと判断したからだ。シュライブ本人は、オズが自身と同じ護衛を主任務とする第二班とは違うと感じていた。そのため考えられる可能性として、暗殺、粛清を主とする第一斑か、存在だけが噂される第三班のどちらかだろう。そしてフレイの様子を見るからに、多分だが第三班だとシュライブは感じた。


「元宮廷魔術師の俺の情報を知っているってことは……。っと、この話題はやめておこう。そうだな、その年でその地位にいる理由でも話してくれ」


 オズとフレイは顔を見合わせて、やはりかという表情をし、フレイが頷いた。どうやら話しても大丈夫らしい。


「簡単に話すと10年戦争で絶大な功績をあげたからかな?」


「大分簡単に話したな……。大筋その通りだな」


 オズは何から話そうかと思い頑張って考えたのだろう、すごく難しい顔をしていた。それでもとても短く簡単にした説明にフレイは呆れを滲ませていた。


 シュライブとしてもどこまで聞いていいのかわからないため、難しい顔をしている。


「それなら、フレイが説明すればいいじゃん」


 オズはフレイの呆れたという態度に、子どもらしい拗ねた様子を見せた。そのことからシュライブはとても面倒くさそうな匂いを感じてきた。


「無理に話さなくてもいいぞ」


「まぁ、待て。仕方ないから私が話そう」


 そう言うとフレイは話し出す。<10年戦争>と呼ばれた戦争の終わりを。









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